日立アプライアンス常務取締役家電事業部長の金子友通氏。2012年度も高級・高性能な白物家電に力を入れる意向を語った

日立アプライアンスは4月26日、過熱水蒸気オーブンレンジの新製品発表会を開催した。2010年より展開されている同シリーズは、「焼き蒸しふた」と「はかって両面グリル皿」と呼ばれる独自の付属品の採用により、焼き蒸し料理調理ができる点が特徴の製品だ。今回発表された2012年モデルでは、本体サイズや外観の変更は行われず、付属品の改良と省エネ性能の向上が図られたのがポイントだ。

最上位機種である「MRO-LV300」では、焼き蒸し調理機能用の付属品「大火力はかって両面グリル皿」を改良。新たに開発した2種類の高効率発熱体を一体化したものを、グリル皿の裏面に採用している。また、マイクロ波を発する立体アンテナを、波の指向性をコントロールしやすい新開発の部品に変更し、マイクロ波の照射性能の効率化を図っている。

最上位モデルの「MRO-LV300」。本体カラーはパールホワイトとパールレッドの2色展開

これら2つの改良による相乗効果で、グリル皿の最高温度が従来の約200度から約250度にまで高温化されている。同社によれば、野菜炒めなど、高火力の直火による焼き蒸し調理も可能になったという。

「両面グリル皿」の新旧比較。オーブンレンジ本体の内寸は同じだが、グリル皿の大きさは面積比で約1.2倍になった

「大火力はかって両面グリル皿」と新開発の立体アンテナによる高火力化の説明パネル

さらに、グリル皿の側面には「上段用フラップ」と呼ばれる開閉式のつまみを設置。つまみ部分を引き出せば、庫内のオーブン棚にグリル皿を引っ掛けることが可能になる。その際、グリル皿を最上段に設置すれば、庫内上面にある1300Wの「大火力グリルヒーター」との距離を近くすることができ、マイクロ波による皿自体の発熱との相乗効果で、魚やトーストなどの調理時も裏返さずに両面を焼くことが可能だ。また、脚部分の設計を変更したことで、両面グリル皿は幅が従来の31cmから33cmに広がり、面積比では約1.2倍とひと回り大きくなっている。

アンテナの新旧比較(上)と新開発の両面グリル皿の断面構造(下)

両面焼き機能の説明とメニュー例

両面グリル皿を庫内最上段棚に設置した両面焼きの実際の調理例。裏返さずに両面も中もしっかり焼ける

一方で、前機種同様に、操作部には液晶タッチパネルを採用。料理に必要な材料のレシピが表示される材料表示機能は、前モデルでは一部のメニューに限られていたが、今回からは材料表示の必要のない「あたため」などを除くすべてのメニューに搭載された。さらに新製品では、各メニューの調理に必要な付属品を表示する機能が新たに追加された。

液晶タッチパネルのメニュー表示画面(写真左)と付属品確認表示画面(写真右)。付属のレシピガイドを広げなくても調理できるのが便利だ

メニューに応じて電子オーブンレンジの側が調理時間などを自動で設定・制御する「メニュー機能」は、10分以内で調理できる「スピードメニュー」を、従来の21種類から104種類へと大幅に追加。オートメニューの総数は371から437に、レシピ数全体では473から544へと増え、日立アプライアンスによると、業界ナンバーワンのラインナップとのことだ。

その他、省エネ・節電性能の改良も行われた。電子レンジ用のテーブルプレートを、従来よりも約12%軽量化して、レンジ加熱時のマイクロ波のロスを軽減。冒頭でも述べた立体アンテナを新たに採用して、マイクロ波の照射性を高めたことで、消費電力を抑制。年間消費電力は従来機種の66.2kWhから64.7kWhと微減、省エネ基準達成率も前年度の111%から113%に向上している。

大幅に数が増えたスピードメニューのラインナップの一例。材料を下準備してセットするだけで自動で温度や調理時間が設定される

約12%軽量化された「軽量外して丸洗いテーブルプレート」。ほかにも、庫内の熱を閉じ込める「ecoシャッター」や放熱を抑える背面4層断熱構造など消費電力をカットする細かな工夫が施されている

最上位モデル「MRO-LV300」の本体サイズ・重量は、W500×D449×H408mm・約21kg。庫内容量は33L、オーブン設定温度は100~250度および300度、発酵温度は30、35、40、45度の4段階。本体カラーはパールホワイトとパールレッドの2色が用意され、推定市場価格は140,000円前後となっている。

その他、MRO-LV300より機能を絞った「MRO-LV200」、機能を絞ってサイズをひと回り小さくしたものの同容量を実現した「MRO-LV100」、最下位モデルの「MRO-LS8」の計4機種がラインナップされている。推定市場価格はそれぞれ110,000円、70,000円、55,000円前後。

発売はいずれも5月20日となっている。

型番 MRO-LV300 MRO-LV200 MRO-LV100 MRO-LS8
総庫内容量 33L 31L
過熱水蒸気 最高約400度 ボイラー熱風式(2段) ボイラー熱風式(2段) ボイラー式(1段)
オーブン設定温度 100~250度、300度、発酵(30、35、40、45度) 100~230度、300度、発酵(30、35、40、45度) 100~210度、300度、発酵(30、35、40、45度)
年間消費電力量 64.7kWh 67.4kWh 70.6kWh 77.2kWh
オートメニュー数(レシピ数) 437(544) 59(324) 44(211) 37(98)
本体サイズ W500×D449×H408mm W495×D465×H394mm W487×D430×H365mm
本体重量 約21kg 約20.5kg 約19.5kg 約16.5kg


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