米Googleは24日(現地時間)、同社がSamsung Electronicsと共同開発したAndroid 4.0搭載のリファレンス機「Galaxy Nexus」のオンラインでの直販を開始した。

価格は399ドルで、Google PlayのDevicesセクションの中で端末が確認できる。ただし日本からのアクセスは禁止されているようで、該当の商品ページにアクセスしても「Not Found」が表示される

Galaxy Nexusは昨年2011年10月に香港で発表された4.65インチのSuper AMOLEDを搭載したNexusシリーズ最新のリファレンス端末で、初のIce Cream Sandwich (ICS)採用、デュアルコアプロセッサ搭載やNFCへの対応といった特徴がある。ただし今回販売されているのはGSMキャリア向けに提供されるHSPAモデルであり(米国での対応キャリアはAT&TやT-Mobileなど)、米Verizon Wirelessや米Sprint Nextel向けに提供されているLTE対応端末ではない。そのため、機能的には日本でNTTドコモで販売されている「SC-04D」とほぼ同等のものになっている。オンライン直販にあたり、399ドルという価格が提示されているものの(Verizon Wirelessなどでは2年契約時で200-300ドルの価格で販売されている)、契約縛りやSIMロックがないという特徴がある。テザリング不可といった機能的な縛りもないため、リファレンス機としてなるべく"素"のAndroid端末がほしいというユーザーには最適だろう。

なお、今回販売されるのは、米国では初めて公式にGSMで利用可能なGalaxy Nexus端末という扱いになる。過去、Googleは「Nexus One」をオンライン直販で提供する試みを行ったことがあるが、セールスがほとんど伸びずにわずか数カ月で直販ビジネスから撤退している。その後に提供されたNexus Sでは積極的にキャリアとの提携を進め、一般にはBest Buyといった既存のリテールチャネルを活用するなど、大きく方針を転換している。だが今回、Galaxy Nexusは米国でのリリースがなかなか行われず、発表から半年が経過した現在のタイミングになってオンライン直販に戻るという経緯をたどっている。理由はいくつか考えられるが、その1つは「Google Wallet」の存在にあることだろう。

Google Walletは同社の決済サービスであり、NFC端末を使えば非接触リーダーを使っての決済が可能になっている。Nexus SではSprintと提携してGoogle Walletの拡大につとめていたが、残りのキャリア3社(Verizon Wireless、AT&T、T-Mobile)がISISというモバイル決済のためのジョイントベンチャーを設立し、Google Walletの拡大を阻止していたことでほとんど利用が広まっていない。Galaxy NexusがVerizon Wirelessからリリースされた際も、同社がセキュリティ上の問題を理由にGoogle Walletアプリのプリインストールを拒んでおり、結局Sprintユーザー以外にサービスを拡大することができなかった。今回、Galaxy Nexusの米国でのリリースの障害となっていたのがGoogle Walletであることを示すかのように、オンライン販売されるHSPA版Galaxy NexusではGoogle Walletアプリがプリインストールされ、さらに10ドルクレジットがデフォルトで提供されるという。非常に興味深い話だ。

(記事提供: AndroWire編集部)