Intel Z68のGIGABYTE GA-Z68XP-UD3Rと比べてみる

GA-Z77X-D3Hのパフォーマンスを計測してみた。比較するのは、ひとつ古いチップセットであるIntel Z68を搭載するGA-Z68XP-UD3Rだ。システムはマザーボード以外共通とし、CPUにはCore i7-2600K(3.4GHz)を組み込んだ。

■テスト環境
マザーボード GA-Z77X-D3H GA-Z68XP-UD3R
チップセット Intel Z77 Express Intel Z68 Express
CPU Core i7-2600K(3.4GHz)
メモリ DDR3-1333 4GB×2
グラフィックスカード GV-R797OC-3GD(Radeon HD 7970)
SSD Plextor PX-128M2P(SATA3/128GB)
OS Windows 7 Ultimete SP1

まず最初の比較はPCMark Vantage。定番となっているFuturemark製のシステムパフォーマンス用ベンチマークだ。スコアは24 PCMarksの差が出ているがこれは誤差の範囲である。どちらが優れているとも言いがたい。個別のスコアで見てみても、とくに目立った違いは出ていない。

次はPCMark 7。PCMarkの最新版だ。こちらはPCMarksから同じという結果だった。個別のスコアの内容は異なるが、このあたりも誤差の範囲でとくに何か差が出ているということもない。

つまりパフォーマンスに関しては互角だ。むしろ1年以上使われているZ68チップセットが最適化も進んでいるだろうと考えられるのに対し、Z77チップセットは登場間もないながら遜色ない結果を出していると評価できる。

では、Z77のZ68との違いの部分で、USB 3.0について比較をしてみよう。Intel Z77 Expressチップセットでは、ついにチップセットレベルでUSB 3.0がサポートされた。これに対し、Z68マザーボードでは、チップセットからのPCI Express x1などにRenesas等のUSB 3.0チップを搭載して対応していた。USB 3.0の転送速度に関しては、USB 3.0アダプタを介してSSD(OCZ Agility3 AGT3-25SAT3-240G)をつなぎ、CrystalDiskMarkで計測した。GA-Z77X-D3Hには、チップセットのUSB 3.0のほか、Etron EJ168チップによる4ポートも搭載しているので、合せてそれも計測している。

まずGA-Z77X-D3H上のZ77 USB 3.0とEtron EJ168 USB 3.0とを比較すると、今回の計測では、Etron EJ168の方が速かった。チップセットのUSB 3.0は、シーケンシャル、512K、4Kのリードで若干遅い。一方でライトは互角だ。ではGA-Z68XP-UD3R上のEtron EJ168 USB 3.0のスコアを見てみると、リードはGA-Z77X-D3H上Etron EJ168より遅く、ライトは速い結果となった。もっとも、ストレージベンチマークに関しては、多い時はシーケンシャルで±10MB/s程度の誤差が出るため、ほぼ互角として見ても構わないと思う。また、SSDをつないだ側のUSB 3.0・SATA2変換チップの性能も当然影響する。

ではZ77がUSB 3.0を搭載したことのメリットはなんだろうか。それは信頼性だ。信頼と言ってもストレートに安定性を意味するわけではない。USB 3.0のソフトウェア、ハードウェアに対し、どこのメーカーのUSB 3.0が標準、推奨となるのかだ。USB 3.0ビデオキャプチャが登場した時、これまでならRenesas製チップが推奨だった。安定性も当然だが、ユーザー数が多いことも重要だ。もちろんしばらくRenesas製USB 3.0チップの推奨が続くと思われるが、今後はIntel 7シリーズチップセットのUSB 3.0が推奨に加わる可能性が高い。

もうひとつ、GA-Z77X-D3Hにある機能で、GA-Z68XP-UD3Rでは現時点ではサポートされていない機能、Virtu MVPをテストしてみよう。Virtu MVPは、CPUの統合GPUとグラフィックスカードのディスクリートGPUとを組み合わせ、3Dパフォーマンスを向上させる機能だ。テストはGA-Z77X-D3H上で行い、Virtu MVPのオン/オフで効果を調べてみた。

結果は、Virtu MVPのオンで3DMark 11のPerformanceのスコアが2000強アップした。ほぼ25%アップの計算だ。詳細を見ると、どの項目もスコアが向上しているが、主にGT1~GT4のフレームレートがそれぞれ10fps以上向上した。とりあえず3DMark 11に関しては画面の乱れも無く、順調に計測できている。ゲームリストを見る限り、海外ゲームが中心であるのは初代Virtuと同じだが、多くのタイトルがリストアップされている。最小のコストで少しでも3D性能をアップさせたい、という用途には向いているのではないだろうか。なお、Virtu MVPはZ77マザーボードでも対応・非対応が分かれているので、これを検討している方は、マザーボードの対応状況を確認してから選定しよう。

基本性能はほとんど変わらないZ77とZ68。それでも、USB 3.0のチップセットへの統合、Virtu MVPが利用可能となる(7シリーズに限るものではないが……)など、Intelおよび他社を含めた新しい技術が取り込まれた点が、Z77の魅力だ。次世代CPUのサポートや、PCI Express 3.0のサポート、これらも既にZ68マザーボードの一部でもサポートする製品があるものの、それはマザーボードレベルでのサポート。ひとつ上のチップセットレベルでサポートするのは7シリーズからである。そうした絶対の安定性、「鉄板」構成を求めるならば、Z77マザーボードへのアップグレードを検討してみるのが良いだろう。

GA-Z77X-D3Hは、Z77マザーボードとしては比較的手頃な価格帯であり、機能面も充実している。コストと機能のバランスを重視する方におすすめな製品だ。

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