3Dコンテンツや2D/3D変換機能はどうか

S23A700Dの3D立体視は、サムスン電子が独自開発した「3D Hyper Real Engine」によるフレームシーケンシャル(アクティブシャッター)方式だ。3D映像の方式としては、フレームシーケンシャル、フレームパッキング、サイドバイサイド、トップ&ボトムに対応している。Blu-ray 3D、3D放送、YouTubeの3D動画といった、3D映像の立体視が可能だ。

付属の3Dメガネは、BluetoothでS23A700D本体と通信する。赤外線を使うアクティブシャッター式の3Dメガネより安定した通信が行え、同社の従来品と比べてシャッターの開口時間が長いため、より明るい環境で視聴ができるという。電源はコイン電池で、駆動時間は約70時間だ。また、USB充電式で約40時間駆動の3Dメガネも、オプションで用意されている。

付属の3Dメガネ

さて、S23A700DにPlayStation 3をHDMI接続してBlu-ray 3Dタイトルを再生してみたところ、S23A700Dが自動的に3Dモードに変わり、特別な設定は不要だった。自然な奥行き感が得られ、クロストークはほとんど見えず、輝度の低下も思っていたほど大きくない。個人差はあると思うが、普段より画面から気持ち離れて鑑賞すると、より自然な3D立体視を体験できるように感じた。

2D/3D変換は、一般的な2D映像をS23A700Dだけで疑似3D化できるのが特徴で、こちらもPlayStation 3で試してみた。2D映像のBlu-rayタイトルやDVDタイトルを再生し、S23A700DのOSDメニューで「2D → 3D」を有効にする。10段階のデプス(奥行き感)調整も可能だ。2D/3D変換もかなり自然な3D立体視だが、ネイティブな3D映像と比較すると、奥行き感の自然さが及ばない印象を受けたが、これは仕方のないところだ。

また、PCゲームの3D立体視には、付属ソフトの「TriDef 3D」を用いる。TriDef 3Dが対応するゲームタイトルで、3D立体視が可能だ。PCゲームで3D立体視する環境として、TriDef 3Dは定番だろう。

操作ボタンはタッチ式

本体の向かって右下の操作ボタンは、タッチセンサー式だ。電源ボタンを含め6つのボタンが用意されている。基本的には、MENUボタンと上下左右ボタンでOSDメニューを操作する。上下左右ボタンにはショートカットメニューが割り当てられており、画質調整の「MAGIC」機能、輝度、入力系統の切り替え、2D/3D変換機能などをすぐに呼び出すことが可能だ。2D/3D変換機能については後述しよう。

「MAGIC」機能は、「MAGIC Angle」、「MAGIC Bright」、「MAGIC Color」の3種類で構成されている。「MAGIC Angle」は、画面を上方向や下方向、横方向から見るときに、視野角による発色の狂いを緩和する機能だ。TN方式の液晶パネルは視野角による発色の変化が大きいのだが、「MAGIC Angle」によって最小限におさえられる。

「MAGIC Angle」は、寝そべって画面を見たり、複数人で同時に見たりするときに役立つ

「MAGIC Bright」は、いわゆる画面モード。ユーザー調整、標準、ゲーム、シネマ、ダイナミックコントラストという5通りがある

「MAGIC Color」は独自の高画質機能で、画面全体を鮮明にする「フル」、肌色を除く部分の彩度を向上させる「インテリジェント」のほか、オン/オフを比較できる「デモ」という選択肢

そのほか、明るさ、コントラスト、シャープネス、応答速度(標準/高速/最高速)、HDMI入力の黒レベルなどを調整できる。色温度の選択肢は、標準/青系1/青系2/赤系1/赤系2/ユーザー調整(RGBバランス)だ。色域としてsRGB比100%をうたっているので、sRGBモードを設けてほしかったところ。

スケーリング機能は、入力信号のアスペクト比を保って拡大する「自動」と、フルスクリーン拡大の「ワイド」だ。また、オーバースキャン(映像を少し拡大して表示)を行うAVモードに切り替えると、アスペクト比の「4:3」表示や「16:9」表示も選べるようになる。

映像をよく見る人や、手軽に3D立体視の環境が欲しい人に

冒頭でも述べたように、S23A700Dは120Hz(倍速)駆動や、3D立体視の環境が"これだけ"でそろう点が魅力だ。いろいろな映像やゲームをよく楽しむ人にとって、120Hz(倍速)駆動と高速応答(2ms)のスムーズな表示能力は、かなりのアドバンテージとなるだろう。また、3D立体視に興味がある人にとっては、S23A700Dのほかには別途追加するハードウェアもソフトウェアもいらないというのは大きい。個人的に欲を言えば、アナログRGB入力やVESA規格のモニタアーム、sRGB画面モードなどに対応していてほしかったが、これらにこだわらないユーザーも多いと思う。

実売価格の最安値は2万円台の後半まで下がっており、オールインワンの3D立体視モデルであることやスペックを考えると、コストパフォーマンスは高い。120Hz(倍速)駆動の液晶ディスプレイを検討してきた人や、映像鑑賞/ゲームを楽しむ人、3D立体視に興味がある人は、選択肢に入れておきたい1台だ。

■主な仕様
画面サイズ 23型ワイド
画面タイプ グレア(光沢)
駆動方式 TN
解像度 1,920×1,080ドット(フルHD対応)
輝度 250cd/平方メートル
コントラスト比 1,000:1(ダイナミックコントラスト比は5,000,000:1)
視野角 水平170度/垂直160度
応答速度 2ms
最大表示色 約1,677万色
映像入力インタフェース デュアルリンクDVI-D(HDCP対応)、HDMI
サウンド入力 HDMI
サウンド出力 ヘッドホン端子(HDMI入力の音声のみ)
スタンド機能 チルト:後20
本体サイズ/重量 W533.8×D197×H395.2mm/2.9kg
価格 オープンプライス
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