ユーザー独自の校正設定を作成する

Just Right!4を使いこなすためのポイントは、校正設定にある。初期状態では「標準」「すべて」「簡易」「公用文」「スペルチェックのみ」「表記ゆれチェックのみ」「括弧チェックのみ」の七種類。ここに後述するオプションを導入することで、いくつかの校正設定が加わる仕組みだ。それぞれチェック対象となる項目が異なり、例えば送り仮名に関する設定は「標準」「すべて」は本則だが、「公用文」は公用文を使用。それ以外の校正設定はチェック対象としていない。このようにあらかじめ用意されたテンプレートを使っても構わないが、通常はいずれかの初期校正設定を元にした独自の設定を作成し、使用した方が操作しやすい(図15~16)。

図15 <校正設定>ボタンをクリックすると現れるダイアログでは、ユーザー独自の校正設定を作成することが可能だ

図16 <新規作成>ボタンでユーザー独自の校正設定を作成できる

少々冗長になるが、Just Right!4の機能を知ってもらうため、各設定内容を紹介しよう。「誤りチェック」は入力ミスなどから発生する誤字脱字や仮名遣い、ら抜き表現などを確認するための設定。通常はすべて選択した方がよい。また、同音語誤りは「人口密度」を「人工密度」 といった誤った同音語のチェックを行うための設定項目。正しい単語を使うためには、先の設定と合わせて有効にしておきたい(図17)。

図17 入力ミスなどから発生する間違いをチェックする「誤りチェック」

用語基準は適切な語句が使用されているか確認するための設定だ。例えば送り仮名で選択できる本則は、昭和56年内閣告示の「送り仮名の付け方」に基づいた統一方法であり、公用文は「文部省公用文送り仮名用例集」に基づく統一方法。また、漢字基準は常用漢字表にない漢字や読みをチェックすることが可能だ。できるだけ平らな表現を用いるのであれば「小学1~6年生」を選択した方がよい。

なお平文を意識する場合は、<難しい語の言い換え>にもチェックを入れておこう。同設定は文書中で「橋梁」といった一般的には難しいと思われる表現をチェックし、「橋」などへの訂正をうながすというもの。頻繁に単語を変更していくと文書のリズムが崩れてしまうので必ずしも必要ではないが、読者に意味が伝わらなければ記事を書く意味がないので有効にすべきだろう。

また、用語基準2はJust Right!4用オプションを導入した際に有効になる設定だ。「共同通信社 記者ハンドブック校正辞書 第12版 for Just Right!」は同名の表記統一辞書を元にした有料オプションで、用字用語集や外来語用例集などが含まれている。本オプションを導入した場合は「濫用」を「乱用」に、「斡旋」を「あっせん」や「世話」などへの訂正がうながされるようになり、より平文でわかりやすい文書に仕立て上げることが可能だ。

多くのユーザーには不要かもしれないが、校正精度を高めるという意味では選択肢の一つとして数えておいてほしい。なお、このほかにも医療業界で用いている単語を集めた「医療校正辞書2010 for Just Right!」や、製薬業界向けの「ライフサイエンス校正辞書2010 for Just Right!」といった専門辞書も用意されている(図18~19)。

図18 表記の統一など正しい言葉遣いがなされているかチェックする「用語基準」

図19 オプションである「共同通信社 記者ハンドブック校正辞書 第12版 for Just Right!」を導入すると有効になる「用語基準2」

「表現洗練」は、文書のわかりやすさをチェックするための設定だ。文体設定や冗長な表現を確認し、「およそ一時間ほど」のように重ね言葉が文中にある場合は「一時間ほど」「およそ一時間」への置き換えをうながされる。また、「Windowsのエクスプローラーの~」など同一助詞が連続する際もチェック対象となるので、一連の項目は有効にしておこう。「字種統一」は、句読点や半角/全角文字といった文字種が文中で統一されているか確認するための設定。また、「キログラム」「kg」といった単位表記もチェックされる(図20~21)。

図20 わかりやすい表現が用いられているかチェックする「表現洗練」

図21 使用している文字種が統一されているかをチェックする「字種統一」

「長さチェック」は、句読点で区切られる文書の長さをチェックするための設定だが、ここは校正する文書によって数値が異なるので注意してほしい。例えば一般的なマニュアルでは、句読点間の文字数は八文字が適切らしいが、雑誌などでは十三文字に増えている(いずれもJust Right!4のヘルプに記載された数値)。ブログの文書もWebデザインによって可読性は異なるため、校正を加えた文書をアップロードして、どの程度が適切なのかご自身で判断してほしい(図22)。

図22 読みやすい文書の長さをチェックする「長さチェック」