中国の大手携帯キャリアChina Telecom (中国電信)は2月22日(現地時間)、同国でのiPhone 4Sの販売を3月9日より開始すると発表した。中国でiPhoneを取り扱う携帯キャリアはChina Unicom (中国総通)に続いて2社目となり、残る世界最大手の携帯キャリアであるChina Mobile (中国移動通信)でのiPhone取り扱い開始に注目が集まりつつある。
China Telecomは中国での3GサービスをCDMA2000ベースで展開しており、今回取り扱いが開始されるのはVerizon WirelessやKDDIと同様のCDMA版iPhoneということになる。なお、現在唯一のiPhone提供キャリアであるChina UnicomはGSM/W-CDMAベースのネットワークでサービスを展開しており、一般に海外からの渡航者が中国で手持ちのiPhoneを利用しようとした場合、China Unicomのネットワークに乗り入れることになる(2G限定であれば他社でも可能)。
さて、これで俄然注目を集めるのは6億のユーザーを抱える中国最大のメガキャリアChina Mobileの動向だ。その潜在的ユーザー数ゆえにAppleとしても契約を結びたい相手であることは間違いないが、同社は3GをTD-SCDMA、現在試験中の4GはTD-LTEで構築しているなど、海外標準とは大きく異なる通信規格を採用している。そのため、AppleがChina Mobileをターゲットに製品展開を行う場合、TD-SCDMAとTD-LTEをサポートした専用端末(もしくは互換端末)をリリースする必要がある。契約の成否も含め、2012年後半から2013年前半にかけて、こうしたChina Mobileの規格に準じた端末を市場投入する可能性が高いというのが業界関係者多くの見方だ。
以前のレポートでも開設したが、China Mobile独自規格ともいえるTD-SCDMAに比べ、TD-LTE採用キャリアは世界でも多数おり、このTD-LTE対応がAppleの製品開発計画に与える影響は少なからずあるとみられる。日本ではソフトバンクモバイルがウィルコムの回線を使って「AXGP」の名称でTD-LTEサービスの間もなくの開始をアナウンスしているが、今後1年の動向が非常に興味深いといえるだろう。