皆様明けましておめでとうございます。本年も相変わらずの与太記事を書いてゆきますので、宜しくお願いいたします。(大原雄介)

企画趣旨

さて、以前こちらでちょっと触れた話だが、昨年12月3~4日に開催されたMTM07でちょっとお披露目させた頂いたのが、"Stackable PC Concept made by Amazonダンボール"。あまりに長いので略称はダンボールPCとさせていただいた(Photo01)。解説には「どこのご家庭にも100や200は余っているAmazonのダンボールでPCケースを作ってみました。」という説明を添えさせていただいたが、まぁ一発芸である(笑)。ただ来訪された方の関心はそれなりにあって、写真なども大分撮影していただけた。ということで、コンセプトの説明なども加えつつこれのご紹介などをしたい。

Photo01: MTM07での展示風景。ちなみに看板は奥様の手作り。

基本的な動機は、やはりMTM07という会場では何かしら目を引くものが必要という話で「何かないかしらん」と部屋の中を見回しててふと気がついたのが、溢れんばかりのAmazonのダンボール(Photo02)。勿論箱のまま置いておくと場所を喰ってどうしようもないので、潰して保管するわけであるが、それでもこの有様である。「これ使ってなにか出来ないか?」というのは誰しも考えること。ちなみに後で数えたら一番小さいタイプの箱ですら軽く100を超えていた。いかにAmazonに金をつぎ込んでいるかという話でもあるが、それはまぁ本題ではないので割愛。

Photo02: つぶしたAmazonのダンボール「のほんの一部」。Amazon以外のものも多少入っているが、大半はAmazon。

で、「んじゃAmazonの箱で何しよう?」と思ったとき、以前から筆者が暖めていた"Stackable PC"というコンセプトの事を思い出し、「よしこれを作ろう」と思い立った訳である。Stackable PCとは、要するに図1の様にコンポーネント別に筐体を分割して、それぞれのコンポーネント別に複数種類のケースを用意することで、自分の必要な構成にあわせたPCを作れるのでは? という話である。つい最近SEED CO., LTD.がMINI-iTX TWINSYS発表したが、基本的な発想は同じだと思う(というか、MINI-iTX TWINSYSの発表前にMAKEで展示をしておいて本当に良かったとつくづく思う。もしこの後になっていたら、単なる真似っこになってしまったところだ)。

図1:

TWINSYSと異なるのは、配線類は全てモジュール内部を通す事を考えていること、それと配置や個数が自由な事である。最終的にダンボールPCでは「電源モジュールは一番下に置く」という制約をつけて作成したのでやや自由度は下がったが、それでも自由度は結構高い。基本形は図2左側の様に積み上げる方式だが、図2中央の様に組み替えることもできるし、もしHDDモジュールを追加でもう一台作れば図2右側のような構成も可能である。あるいは電源モジュールをもう少し大型化してSFX電源を2台搭載するようにすれば、(意味があるかどうかはともかく)電源-マザーボード-マザーボード-HDD-HDD、なんていう2マシン構成を構成することも出来る。

図2:

またこれはあくまでも可能性レベルの話だが、例えばこんなPCIeのバス延長ケーブルを使うと、HDDモジュールの中にHDDとRAIDコントローラをまとめて収めるなんて事も可能になる。こうなれば、例えばオンボードにSATAが2ポートしかないマザーボードでもRAIDを組むなんて事も可能になるだろう。

こうしたStacking(積み上げ)というのは別に珍しいものではない。ちょっと(かなり)古い話だが、SunMicrosystemsがリリースしていたSPARCStation IPC/IPXという製品があった。どんなものか、というのがGoogleで画像検索でも掛けて見ていただく方が早いのだが、基本となるSPARCstation IPC/IPXの本体にはベースボードに電源、HDDまで搭載されていて単体で動作する。ただ当時のことだからHDDの容量が全然足りない。そこで底面積が同寸の外付けHDDケースを何段も積み上げ、SCSIで接続してシステムを組み事になる。他にもテープドライブとかCD-ROMなどもやっぱり外付けであった。問題はこの外付けのSCSIケーブルがかなりごつくて、本体そのものは小さくまとまっているのにシステムを組むとえらい事になってしまった(本体の裏側に30cmほど配線用のスペースが必要)。これはあまりスマートとはいえないので、「やはりケーブルは中に通したい」と思ったわけだ。