んでAmazonダンボール
そんなわけでコンセプトは以前から持っていたのだが、ケース自体を作るのはやっぱり大変である。特に金属加工が必要な場合、「パネル1枚だけ」とかならばともかく、ある程度の数を作ろうとするとどうしてもまともな工作機械が欲しくなるのだが、流石に床板が腐りかかっている賃貸住宅の台所には「どこのご家庭にも一台はあるCNC」は置けない。もっと手近な材料でないと難しいだろうと考えていたのだが、冒頭にあるようにAmazonダンボールの山を見ているときにふとこれを思い出した次第だ。「よしAmazonダンボールで作ろう」ということで、アイディアが固まった。
ちょっと他媒体向けの記事で恐縮なのだが、実は筆者には過去に「猫用爪とぎ」でPCケースを作った経験があり(笑)、案外これはこれで行ける(実際には逝ける、だったが)という見込みはあった。とはいえ今回の目的は客引きの目玉なので、「わかりやすさ」を重視する方向でデザインをすることにした。具体的には、
・最小単位はAmazonの小さい箱を基本とした。XM01、などと書かれているタイプ。組み立て後に330mm×250mm×60mmとなるタイプである。ここから部材を切り出すため、底面積は240mm×240mmとし、高さはこの60mmを基本とする。
・電源部だけはこの高さだと収まらないので、やや大きめのものに準拠させる。XM03となどと書かれている330mm×250mm×120mmの箱を基本に、240mm×240mm×120mmとする。
・とりあえず今回は「動けば良し」ということで、手持ちの機材の中でこのケースに収まる構成を考える。最終的には、
* ASUSTeK AT5IONT-I+4GB Memory(以前この記事のために私物で購入して以来放置していたもの)
* WD WD10EACS(SATA 1GB)(たまたま使う予定がなかったので)
* LITE-ON BD-ROM Drive(ベンチマーク用のバックアップ機材。確かバルク品)
* Enhance Electronics ENP-2730H(SFX 300W電源)
といったコンポーネントでシステムを構築することにした。
ところでこうしたスタッキング構成をとる場合、「どうやって上下段を固定するか」は常に問題になる。先のSEEDのTWINSYSの場合、3つのモジュールは完全に独立しており、「ただ置くだけ」である。これはこれで美しいのだが、ばらばらになりやすい。ましてやダンボールで同じ構成をとったら更にひどいことになる。流石に「震度7でも壊れない」とは言わないが、ちょっと手がぶつかったら崩れてしまうのは避けたい。
最初はこの目的のために外部にガイドレールでも……と思ったがそれもあまり美しくない。色々考えた末、最終的に図3の様に各モジュールの底面に凸部を設け、これが下のモジュールに嵌る形で固定することにした。この場合、凸部の高さが低すぎると簡単に外れるし、凸部が高すぎると各モジュール内の有効な高さが制約される。これについては実際に色々試した末、最終的に10mm程度で決着した。
ちなみに図4の様にすると、電源を含めて完全に位置関係を自由に構成できることになるのだが、重量バランス的に一番重い電源を上に持ってく事はないだろうと判断して、今回は底板を別に作るのは端折っている。
またモジュール間の配線だが、図5の様に各モジュールの両端にケーブル引き回し用の穴を設け、これを経由して配線が出来るように配慮している。今回の場合、左側に電源系、右側にSATAを配する形にした。
最後に給排気の事を。以前爪とぎPCを作ったときは、上方排気構成だった。つまり排気を猫の暖房にというコンセプトで、これはこれで間違ってなかったのだが問題は埃。要するに排気は下から上に上がるのだが、それとは別に室内の埃とか、猫が爪を研いだことによる爪とぎの破片とかが全部上から下に落ちることになり、PC全体が見事に埃まみれになってしまった。それもあって、今回は側面給排気というコンセプトにしてみた。ダンボールの目の向きをそろえることで、側面から風が流れるようにするというものだ(結果から言えばこれが大失敗だったのだが……)。