スタンドアロンで使える強み。ケーブルいらずのセットアップ

他の複合機と同様に、ENVY110はスタンドアロンで利用できるように設計されていて、セットアップも本体のみで行える。タイムゾーンを設定して、インクカートリッジを装着し、無線LANを設定するだけと簡単。インクカートリッジの装着方法などをアニメーションで表示するガイダンスを用意しており、本体の液晶モニタをタッチすれば必要なことが全部分かるのは親切だ。

無線LANの設定は手動、またはPCを使う場合は付属のCD-ROMで行う。CD-ROMからセットアップを起動すると、無線LANの設定がプリンタへ自動で送られるという仕組みだ。この点も気が利いていると感じた。

CD-ROMからセットアップを実行し、ネットワークの設定をプリンタに送信。パスワードも暗号化して送信されるので手間いらずだ

操作のキモとなるタッチパネルの感度は、iPhoneなどのスマートフォンに慣れていると、今ひとつという印象だ。とはいえ、フリック操作で画面をスクロールできるし、インクカートリッジの残量などを確認するのに画面を直接見ながら操作できるのは、やはり分かりやすい。スマートフォンやタブレットに慣れた人ほど、自然に操作できるのではないだろうか。

夜間でも静か。印刷の実力をチェック

液晶モニタに表示される印刷メニューは、写真、コピー、スキャンの3つ。メニューの上段には後述の「Print Apps」が表示されている。写真印刷では、メモリカードスロット(SD/MMC/MS Duo)やカメラダイレクト対応のUSBポートを搭載し、PCなしで印刷することが可能だ。

印刷速度の実測は、それほど速くない印象を受けた。ダイレクト写真印刷はSDメモリカードのデータを印刷している。ダイレクト写真印刷とカラー/モノクロコピーは、ENVY110で印刷開始を実行してから排紙が完了するまでの時間だ。PCからの写真印刷とはがき印刷は、ENVY110で紙送りが始まってから排紙までの時間である。

L判フチなし写真印刷(PC) 標準 高画質
51.1秒 60.2秒
L判フチなし写真印刷(ダイレクト) 標準
61.0秒
A4普通紙カラーコピー 標準 ドラフト
42.5秒 18.6秒
インクジェット用官製はがきフチなし印刷(PC) 標準 高画質
49.7秒 70.3秒

ENVY110で印刷したL判フチなし写真を、ENVY110でスキャンしたもの。全体的にやや薄めで、もう少しコントラストが高いとよかった。ただし、サンプルデータの発色はディスプレイ環境で左右されるため、参考程度に考えてほしい

A4普通紙カラーコピーの速度計測で用いた原稿

L判1枚に1分近くかかるのは、最近のプリンタ/複合機としては遅いと感じる人が多いだろう。参考までにAirPrintを利用したときの時間も測ったが、約106秒と、PCから印刷するよりも時間がかかっているので、枚数が多いときはPCから印刷したほうがいいかもしれない。ちなみにPCでは画質を「標準」と「高画質」で比べたが、あまり差が出なかった。画質もほとんど変わらないので、通常は「標準」がおすすめだ。

プリント時の動作音は静かで、筐体が横揺れすることもほとんどない。夜間に印刷することが多いという人も、リビングでも時間を気にせずに使えるのは嬉しいところだろう。

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