スマホとの連携機能をチェック
写真や文書はスマートフォンに保存されていて、そのまま印刷できたら便利という機会は多い。ENVY110では、「HP ePrint」機能、iOS用/Android用の「Hp ePrint Home & Biz」アプリ、「AirPrint」、「Google Cloud Print」という4種類のモバイル印刷をサポートし、スマートフォンやタブレットなど非PC環境からの印刷が得意だ。
HP ePrintは、プリンタに割り当てられたメールアドレスにファイルを送るだけで、プリントできる機能だ。アドレスは「HP ePrintCenter」(www.hpeprintcenter.com)にサインインすれば取得でき、あとはこのアドレス宛にファイルを添付して送る。同社のサーバを介してファイルをやり取りされるため、メールが使える機器なら環境を選ばない。
メールを送信すると、タイムラグもほとんどなく印刷を開始する。もちろんPCを起動しておく必要もない。写真だけでなくPDFやテキスト、Office文書(Word、Excel、PowerPoint)などに対応しているので、外出先から印刷を実行して、家や会社で印刷物を受け取るといった使い方や、プリンタドライバをインストールしていないPCから印刷を行うといった使い方にぴったりだ。
目玉の1つ「Hp ePrint Home & Biz」アプリ
iOS用/Android用アプリで提供されている「HP ePrint Home & Biz」は、写真やWeb、Word、Excel、PowerPoint、PDF、テキスト文書の印刷や、ENVY110を使ったスキャン操作が可能だ(Web印刷とスキャンはiOS版のみ)。文書を印刷するときは、スマートフォンやタブレットにあらかじめ転送しておく必要があるが、iPhoneやiPadなら原稿をスキャンして、そのままPDFや写真としてファイル保存できるのが便利だ。
取り込んだファイルをほかのアプリに送ったりということはできないが、文書を持ち歩きたいというときに重宝するだろう。また、Hp ePrint Home & Bizアプリを使うと、写真印刷で用紙サイズを選べるのも1つのポイントだ。iOSのAirPrintでは用紙サイズがL判に自動で設定されるが、Hp ePrint Home & Bizアプリを使えば、はがきや2L判などへ印刷できる。なお、Office文書やWebページを印刷するにはHP ePrintのアドレスが必要だ。
HP ePrint Home & Bizの起動画面。残念なことに言語は英語だ |
「Photo Albums」をタップして写真を印刷。インターネットにつながっていればどこからでも実行できる |
設定画面を開くと用紙サイズを変更可能だ。デフォルトでは4x6インチサイズが選択されているので、最初に変更しておきたい |
文書またはイメージとして保存可能。iTunesなどを利用して、PCとファイルを送受信できる |
iOSのAirPrintに対応。写真印刷やWeb印刷は、やはりネイティブの機能を使ったほうが楽だ。Web印刷では両面印刷もサポートする |
インターネットから直接プリント
ENVY110には、インターネットに接続してコンテンツを直接プリントする「Print Apps」という機能もある。具体的にいえば、オンラインのWebアルバムやFacebookの写真、ニュース、天気情報、クーポンなどを印刷できる機能だ。子供向けにはディズニーやドリームワークスのコンテンツからキャラクターのぬり絵やペーパークラフトなども用意されている。「筆まめ Online」や「ぐるなび レシピ」など自分で追加できるAppsも豊富だ。
ただ、使ってみるとPrint Appsはまだ実験的な機能と感じた。小さな子どものいる家庭なら、ぬり絵やペーパークラフトは楽しめるかもしれないが、ニュースや天気情報などはスマートフォンで確認すれば十分で、わざわざ印刷する人は少ないだろう。また、日本語入力がデフォルトではできないうえ、タッチパネルのレスポンスがいまひとつで入力に時間がかかったり、コンテンツそのものの読み込みに時間がかかったりと、スムースに操作できないところもあった。コンテンツは順次増える予定とのことなので、より面白い使い方のできるAppが追加されることを期待したい。
PCなしでも快適なプリント生活
ENVY110のスペックは平凡に見えるし、CD/DVD/BDレーベル印刷などの機能もない。だが、リビングと調和するデザインや便利なモバイル印刷機能のおかげで、少々のデメリットは気にならない。タッチパネルの操作は直感的だし、デジカメで撮った写真もオンラインストレージで気軽に持ち運べる今、スマートフォンから気軽にプリントを実行できる機能はなくてはならないものだろう。
無線LANを内蔵したコンパクトなボディで置き場所に困らなかったり、価格が3万円を切っているというのも、個人向けの複合機では嬉しいところ。プリンタはもはや、PCだけの周辺機器ではなくなっている。この点で使い方や置き場所に制限が少なく、ストレスフリーで使えるENVY110は、フラッグシップの名に恥じていない。複合機が欲しいが場所を取るのは困るという人だけでなく、フューチャーフォンからスマートフォンに買い換えた、あるいは以前からスマートフォンを使っているユーザーも、ぜひ検討してほしい製品だ。
■主な仕様 | |
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製品名 | HP ENVY110 |
インク | 4色(染料C/M/Y一体型、顔料Bk) |
印刷解像度 | 最高4,800×1,200dpi |
スキャン光学解像度 | 1,200×1,200dpi |
イメージセンサー | CIS |
最大用紙サイズ | A4 |
給紙 | 前面カセット(A4普通紙 最高80枚) |
自動両面印刷 | 対応 |
CD/DVD/BDレーベル印刷 | なし |
液晶モニタ | 3.45型カラーLCDタッチスクリーン |
インタフェース | IEEE802.11b/g/n対応無線LAN USB 2.0 メモリカードスロット |
本体サイズ/重量 | W427×D336×H102mm/約7.25kg |
直販(HP Directplus)価格 | 29,820円(2011年12月5日時点) |
関連リンク
・日本HP、スマホ/クラウド対応を強化した個人向けインクジェット複合機
・日本ヒューレット・パッカード
http://www8.hp.com/jp/ja/home.html