テスト機材とベンチマーク環境
さて、実際の製品である。CPUは当然ながらES品(Photo14)である。パッケージは従来のLGA1367/LGA1155と比べて一回り大きく(Photo15,16)、また厚みもある(Photo17)。Windowsからはあっさり認識され(Photo18)、CPUのPerformance Indexは7.8(Photo19)。ちゃんと仮想12コアが出現している(Photo20)。CPU-Zでもほぼ正しく認識され(Photo21~23)た。ちなみにベースクロックはSandy Bridge同様100MHzになっている。
Photo20: このあたりは以前のCore i7-990Xと同じく。 |
Photo21: この画面は正しいのだが、Memoryに関してはSPDの取得などができなくなっている。Core Voltageは1.00V。 |
これと組み合わせるマザーボードは、「Intel DX79SI」(Siler)である(Photo24)。他に「Intel DX79TO」(Thorsby)という製品も用意される。パッケージは相変わらずSkullを強調したもの(Photo25)。基板はいつもの感じ、に一見見えるのだが、実は随分オーバークロック周りの機能を入れたものとなっている(Photo26)。一方裏面は、かなり頑丈なバックプレートが装備されたほか、謎のコネクタがDIMMスロット下に用意されている。ちなみに今回からCPUクーラーの取り付けは、従来のプラスチック製ジョイントに代えてネジ止めになっている。LGA2011の場合、CPUとクーラーを確実に接触させるためには従来よりもテンションを高める必要があり、従来型のジョイントだとマザーボードが大きく歪んでしまうから、ということだそうだ。バックプレートはこのネジを受け止めるため、かなり大きなものとなっている。バックパネルはUSB 1.1/2.0×6、USB 3.0×2、LAN×2、IEEE1394×1、BIOS S/W×1と比較的シンプル(Photo28)。CPUへの電源回路は8phase構成(Photo29)である。CPUソケットは、これまでに比べると独特な形になっている(Photo30)。
Photo26: 相変わらずドクロの目が光る。ちなみに実売価格は不明だが、Intelによれば「1万5~6千円になるのではないか?」という話が。 |
Photo27: 実はこのコネクタに関してはマニュアルで一切言及がなく、シルク印刷も"XDP1"としかないのだが、場所とか配線を考えると、ひょっとすると外部からリモートでオーバークロック設定を変更するためのI/Fなのかもしれない。 |
Photo29: 10phaseを平気で超える最近のハイエンドマザーボードの電源回路を見るとシンプルにすら思えるが、実のところこれでも十分多い気がする。 |
Photo30: 端子ピンは大きく2方向に分割。 |
オンボードデバイスとしては、まずSlot 1/2の間にPCI ExpressのLane SwitchとしてPI3PCIE3415が搭載されている(Photo31)ほか、電源制御回路としてはIRF(旧CHiL Semiconductor Corporation)のCHL8328を搭載する(Photo32)。Photo25で1本目と2本目のPCIeレーンの左に、Intel 82579LM GbE PHYとIntel 82574L GbE Controllerが置かれている(Photo33)ほか、その脇には8.2ch HD Audio CodecとしてALC892が配される(Photo34)。また引き続きIEEE1394のコントローラが搭載されるのだが、従来のTIのコントローラからVIAのVT6315Nに切り替わったのはちょっと興味深い(Photo35)。
Photo32: IntelのVR12とAMDのSVI/PVIに対応する、8phaseに対応した電源制御IC。CHiL Semiconductor Corporationは今年2月にIRF(International Rectifier)に買収された。 |
Photo33: 82579LMはX79のGbE MACに接続されてFirst LAN、82574LはPCIe経由でSecond LANとなる。 |
マザーボード下側には多数のLEDが並んで、動作状態をリアルタイムで確認できる(Photo36)ほか、バックパネル用のUSBコントローラも別途搭載している(Photo37)。ところでマザーボードにはSATA 6~SATA 9までのパターンが残されている(Photo38)のは、DX79SIの設計開始時にはまだX79がPatsburg-Dベースになる可能性があったためと思われる(Photo38)。
Photo37: 詳細なステータスはこの2桁の7セグLEDで。右にルネサスエレクトロニクスのμPD720200AF1があるが、これはその下の水色のコネクタ経由でバックパネルもしくはフロントパネル用。 |
Photo38: なので、当初はここにSATAコネクタが最大10個並ぶ予定だったと思われる。 |
さて、次に水冷キットのRTS2011LCであるが、内部パーツはこんな具合(Photo39)。取り付けた後は、こんな具合に背面ファン部分にラジエターを取り付ける形になると思われる(Photo40)。CPUの周りもすっきりと収まるし、使った感じで言えば放熱特性もよく、その割りに静かだった(Photo41)。
Photo40: それほど重量は無いので強度的にはあまり心配はない。 |
Photo41: ちなみにマニュアルでは、まず金属プレートをネジで止めて、そこに水冷ヘッドを捻じ込む様に説明されているが、これではうまく装着できなかった。最終的には先に水冷ヘッドと金属プレートをかみ合わせておき、その状態でネジを止めるのが一番楽だった。 |
最後に付属品だが、マニュアルとかCD、マウスパッド以外にバックプレートとSLI/Triple SLI用のブリッジ、それと温度センサーが付属してくる(Photo42)。
ということで、これを使って「Core i7-3960X」の性能を試してみた。比較対象としては、Core i7-2600K(Core i7-2700Kの手配が間に合わなかったのでご容赦いただきたい)と、Core i7-990Xである。詳細なテスト環境は表1に示す通りだ。
■表1 | |||
Core i7-2600K | Core i7-990X | Core i7-3960X | |
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M/B | ASUSTeK P8Z68-V PRO | Intel DX58SO2 | Intel DX79SI |
BIOS | BIOS Version 0902 | SOX5820J.86A.0876 | SIX7910J.86A.0280B |
Driver | Intel INF Driver 9.2.0.1022 | ||
Memory | DDR3-1600 CL9 4GB×2 | DDR3-1066 CL7 2GB×3 | DDR3-1600 CL9 2GB×4 |
Graphics |
NVIDIA GeForce GTX 580 1.5GB Reference GeForce 285.62 Driver |
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HDD | HGST Deskstar HDP725050GLA360 500GB×2 (RAID0, NTFS) | ||
Intel Rapid Storage Technology Driver V10.6.0.1002 | Intel Rapid Storage Technology enterprise Driver V3.0.0.1112 | ||
OS |
Windows 7 Ultimate 64bit+Service Pack 1 日本語版 .NET CLR 2.0.50727 Java 1.6.0_27 / Runtime 20.2-b06 |
ちなみにDX79SIに搭載されるX79の場合、RAID 0を構成する場合Windows 7のInbox Driverでは対応できないため、Rapid Storage Technology enterprise Driverが必要になる。実は今回このDriverが提供されていなかったのだが、何故かIntelのDownload CenterではDX79SIがラインナップされており(Photo43)、この下にRapid Storage Technology enterprise Driverを含む全ドライバと最新BIOSが提供されていた(Photo44)。このためこちらからドライバを入手したことを付記しておく。
また搭載メモリ量をこれまでの4GBから8GBに増やしたが、これはDX79SOでそれぞれに2GBのDIMMを装着すると8GBになってしまうからで、これにあわせてCore i7-2600Kは4GB×2の構成とした。この場合、3chのCore i7-990Xが6GBでやや不利になるのだが、6GB→8GBで大きく性能が変わることも無いだろうと判断した。
なお、以下のグラフにおける表記は、
・2600K : Core i7-2600K+ASUSTeK P8Z68-V PRO
・990X : Core i7-990X+Intel DX58SO2
・3960X : Core i7-3960X+Intel DX97SI
となっている。
ベンチマーク結果
以下、いつもの様にベンチマーク結果をご紹介する。ちなみに今回は基本的に同一アーキテクチャということもあり、RMMAを使っての分析は省かせていただいた。