先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2011」が10月4日~10月8日の5日間、千葉県の幕張メッセにて開催されている。今年は「Smart Innovation - 未来をつくる最先端技術」という開催テーマで、ITやエレクトロニクスが牽引する暮らしや社会、ビジネスのための"Smart Innovation"の発信を図ることを目的として実施されており、「デジタルネットワークステージ」「電子部品・デバイス&装置ステージ」「ICT Suite Electronics Suite」の3つのステージに分かれて、586社・機関が出展している。その中で今回は、電子部品・デバイス&装置ステージにおけるデバイスベンダの展示を中心に紹介したい。

「電子部品・デバイス&装置ステージ」の様子

SiCで省エネ、省スペース電源の実現を狙うローム

ロームは、同社が開発を進めているSiCを用いたパワー半導体の展示を行っており、すでに商品化をしているショットキバリアダイオードやDMOSFETなどのほか、開発中のトレンチMOSFETなどの紹介も行っている。

また、それらのデバイスを用いたSiC搭載の高周波・高効率インバータなどの紹介も行っている。同インバータは、SiCトレンチMOSFETを用いることで、6.78MHz動作で95%の効率を実現しており、主に産業機器やワイヤレス給電などへの適用を狙う。

同社は、SiCを用いたパワー半導体について、2013年には本格的な市場の立ち上がりを見込み、現状の3インチ/4インチでの生産から6インチへとシフトを図っていく計画としている。

SiCデバイスを用いたモジュール各種

ロームが提供および開発を進めるSiCデバイス各種

このほか、同社では03015サイズで0402サイズと同等性能を実現したチップ抵抗器(チップ面積44%減)の展示も行っている。こちらは2012年夏には製品出荷を目指しており、現在、基板への実装などをどうやって実現するかについて、装置メーカーなどと相談してい最中としている。

同製品は、チップ寸法サイズを±20μmから、±5μmへと精度の向上を図ったほか、電極を耐腐食性に優れた金電極にすることで、はんだ塗れ性と信頼性の向上が図られている。

左が0402のチップ抵抗器50万個、右が03015のチップ抵抗器50万個

さらに同社では、半導体技術を活用したμTAS(Micro-Total Analysis Systems)バイオ測定チップによる微量血液分析装置およびポータブル蛍光分析システムといったバイオ関連の展示も行っている。同社のμTASチップは、同社の微細加工技術を活用することで最小幅100μmの微小経路での血球分離、計量、検査薬混合、廃液などの血液検査の全工程を数cm角のチップ内で実現するもの。1滴の血液で7分30秒程度で検査結果を出すことができるため、中小の病院や開業医などに向けたソリューションとなっているが、健康保険組合などが、未病の観点からこうした装置を活用して、保険料の低減を図ることもできる可能性もあるとしている。

一方のポータブル蛍光分析システムは、試薬、検体をセットするだけで全自動で約30分でELISA反応によりバイオマーカーを定量測定することが可能なシステム。こちらは病院よりも製薬会社やバイオ系の研究機関などでの利用がメインとなる。

半導体製造技術を応用してバイオ関連の製品なども展開している

2秒で車載モニタに映像を表示するコントローラ

ローム子会社のラピスセミコンダクタ(旧OKIセミコンダクタ)のブースでは、車載後方カメラ向けディスプレイコントローラ「ML86V8201」の展示が行われている。

2011年10月1日付けで「OKIセミコンダクタ」から「ラピスセミコンダクタ」へと社名が変更された

新社名の語源となったラピスラズリも同社ブースに展示されている

これは法整備が進められている米国での、エンジン始動から2秒以内に車体の後方を映し出さなければいけない、というニーズに応えるもの。普通に映像表示するだけのICであればほかにもあるが、同製品はSoCと連動して活用することが可能な点が特長。具体的には、Auto Load機能を活用することで電源ON時にI2CマスタモードでEEPROMから設定情報を読み出し、SoCを介さずにダイレクトで後方カメラからの映像をモニタに表示。その間にSoC側ではOSをブートし、EEPROMのデータ読み込みを終えたML86V8201は自動でSoCのスレーブとして、白線検知などの処理が行われた映像の表示を行うことが可能となっている。量産は2012年3月を予定している。

車載後方カメラ向けディスプレイコントローラ「ML86V8201」を用いたデモ。左のモニタがダイレクトに表示された状態。電源が入ると即座に表示される。右はその間もSoCからブートしている。ブート後は、SoCがマスタとなり、白線認識などされた画像を表示することが可能となる

また、MVC86V8201はナビゲーションシステムなどの機器との連携を模索したものだが、さらに低コストな車種向けにはマイコン内蔵のディスプレイコントローラが提供されている。

こちらは、バックミラーなどに取り付けられた小型モニタなどにカメラからの映像を映すことが可能な8051コアを搭載したコントローラICで、SoCと組み合わせることなく、1チップで複数チャネルの映像を表示することが可能となっており、すでに量産出荷を開始しているという。