エルピーダメモリは9月15日、現在の過去最悪の円高水準と同社主力事業であるDRAMの急激な市況悪化に対応するための緊急対策を取りまとめたことを発表した。

為替は、対米ドルで2010年5月初旬の約95円から円高傾向が続き、2010年9月上旬には約85円、2011年8月では一時75円台となり、2011年9月15日時点では77円前後で推移している。この傾向は当面続くことが見込まれるが、DRAM価格が2010年比で約3分の1に下落するなど、円高に加え、主力製品の価格下落という課題も生じている。

そのため同社ではこうした環境激変を踏まえた経営体質を強化を目的に、6つの施策を行っていくことを決定したという。

1つ目は生産するDRAM製品の主力を現行の2Gビット品から原則すべて4Gビット品へと移行することで価格の下落圧力に対応するというもの。また、これと併せて主力工場である広島の300mmウェハ工場のプロセスの微細化を推進、従来の40nmプロセスから30nm以下へのプロセスへの切り替えを進めることで生産性の向上とコスト低減を図っていくとする。

また、この不況が継続した場合、グループ内での生産体制の最適化として、広島工場の生産能力の一部を台湾のRexchip Electronicsへ段階的に移設することも検討していくとしている。これに伴う広島工場の従業員については、グループ内での吸収と活用を含めて、その雇用を維持していくことを予定しているという。

さらに、調達部門での材料、装置の集中購買などによるドル建て取引の拡大を図ることで、為替変動リスクを抑制するほか、開発部門における開発品種の絞込みと間接部門の業務効率化による経費の圧縮を図っていく計画。 加えて特許戦略については、同社が保有する知的財産権を従来以上に積極的に活用していくことで、特許収入の拡大を図っていくとしている。

なお、採用については中途採用を抑制するが、新卒採用の計画に変更はないとしている。また、過去数カ月のDRAM市況と業績悪化を鑑み、同社代表取締役社長兼CEOである坂本幸雄氏の報酬手取り額を当面の間、100%カットとすることも決定したという。