もともとPROTREKは、登山家をはじめとしたアウトドアのエキスパートからも愛用され、こうしたエキスパートのアドバイスを受けて進化してきた歴史がある。プロ向けのイメージがやや強い一面はあるが、PRW-5100はプライベートやビジネスなどのシーンを問わず、いわゆる"普段使い"の腕時計としても愛用者が増加中だ。もちろん、PROTREKシリーズならではのアウトドアマインドあふれるデザイン、高度な機能は健在である。

そこで、東京近郊のライトな登山スポットとして人気の高い高尾山で、PRW-5100の本領をちらりと体験してみた。

本格的なセンサー機能が誰にでも簡単に利用できる

高尾山の玄関口、高尾登山電鉄清滝駅前。まず、ここで登山前の基準高度を設定しよう。なぜなら、清滝駅前広場は標高が200mと覚えやすいからだ。

基準高度を設定するには、まずALTI(アルチチュード)ボタンを押すと、秒針がALTI位置を指し、高度が表示される。数値が現在地の標高と合っていない場合、ADJUSTボタンを長押しする。次にCOMPボタンとALTIボタンを使って、基準高度を200mに設定。設定できたらADJUSTボタンを押して、この状態で山を登り始めればOK!

高尾登山電鉄清滝駅前。今話題の人気スポットだけあって、週末はかなりの人出

ここで基準高度を200mにセット。簡単操作だけど、なんだか本格派っぽいぞ!

ケーブルカーで登ってしまい、そこから先(高尾山頂、薬王院、さる園など)をたっぷり楽しむという手もある

木漏れ日の登山道を歩く。日頃のストレスが吹っ飛ぶ爽やかさ

途中、休憩時に高度をチェックしてみた。デジタル表示窓には現在の高度と直近8回分の高度推移が表示され、秒針が、任意で設定した場所との高度差を示してくれる。これをもとに、自分が歩いた時間の中でどれだけの高度を稼げたか、すなわち自分の登山ペースが数値で把握できる。これは、ほかの山に登るときにも有用だ。

標高230m。不動明王の石像が、登山道の傍らで人々の通行を静かに見守る

標高335m。このお堂の奥に、修験者が滝行(水行)を行う修行場「びわ滝」がある

やっと550mまで来た! 山頂は599mだから、あともう少し!

等高線入りの地図を用意しておけば、現在の高度から、あとどれくらい登れば山頂に着くかも分かる。等高線が入った国土地理院の地図は大型書店などで販売されているが、京王電鉄高尾線「高尾山口駅」の売店でも、1/10,000のオリエンテーリング用地図(200円)が購入できる。

登山中は、現在地の確認や周囲の地形を見るために頻繁に地図を見ることになる。が、山を回り込んだり谷を迂回したりして作られている登山道を歩いていると、自分が今どちらを向いているのか分からなくなってしまうのだ。夏は木々が生い茂っていて視界がさえぎられがちだし、登山道には崖っぷちを歩く場所もあるから、転落の危険だってある。登山道から外れて自分の向いている方角を見失ってしまえば、地図は意味をなさない。そこで必ず持っておきたいのがコンパスだ。PRW-5100なら、ボタン一発で秒針が北を指してくれる。

標高515m地点。人がすれ違えないほど細い道。しかも左側は崖! 登山道にはこんなに危険な場所も

方位計測時は、文字盤を上に向けて水平に保持する。PRW-5100が傾いていると、計測に誤差が生じる可能性がある

京王高尾山口駅の観光案内所では、登山道中心のウォーキングマップも配布されている。これをもらっておくと、高尾山を巡るワクワク感が高まるだろう

PRW-5100のCOMP(コンパス)ボタンを押すと、秒針が回転してCOMP位置を指したのち、さらに動いて北を指す。デジタル表示窓には、「SE(南東)」や「NNW(北北西)」といった英文字が表示され、自分が向いている方角がすぐに分かるのが嬉しい。

PRW-5100の方角測定モード

ちなみに、ADJUSTボタンを押すと表示が角度数値に変わる。知識がある人なら、2点の目標物の角度を計測し、その軸線が交わる点から現在地を割り出す「クロスベアリング」という方法も使えるだろう。このあたりは、PRW-5100の取扱説明書にも解説がある。

読みごたえ満点の取扱説明書。登山のお供に持って行くと、知識を深めるのにも役立つだろう

そう、この取説がまた面白いのだ。 高度や気圧や方角に関するミニ知識、あるいは機能の使用例に関する記述が楽しく、それが製品の機能に密接に関係しているから、単なるマニュアルを超えた読みごたえがある。例えば、本製品にも搭載されている「磁気コンパスが指す北」と、いわゆる「地球の真北」は違うって知ってました!?

そして、ついに山頂へ到着。途中何度か心が折れそうになったが、何とか山頂までたどり着けたのは、あとどれくらい登ればいいかというゴールまでの高度差をPRW-5100が教えてくれたからだ。優秀な参謀、あるいは聡明な秘書が付いていてくれるような、そんな感覚。

標高約600m。山頂からは、天気が良ければ富士山も見えるとか。周囲の山の名を調べるときも、地図とPRW-5100が活躍する

標高590m。東京方面の展望。日が暮れてくれば、きっと宝石箱のような夜景が見えるに違いない(私は気が回らずに下りてしまった…)

標高530m。薬王院の参道まで下りてきた。甘い物でも食べようと思っていたが、すでに茶屋も店じまい…

標高535m。高尾山といえば天狗伝説。天狗像の迫力に思わず見入る

標高480m。蛸(たこ)供養の碑。こんな山中でなぜ蛸供養?

高尾山は、正味1時間半もあれば山頂に着いてしまう。したがって、PRW-5100のおかげで命を救われた! なんてことは、正直、滅多にないかもしれない。それでも、今回の高尾山では、頼りになるガジェットを身に付けることで得られる絶大な安心感と面白さを実感できたと思う。だって実のところ、山頂付近なんて相当キツかったんだから。

腕時計は、あなたという人物を強力に代弁するアイテムでもある。あなたの手首は、常に目に入るいわば「身体の一等地」だ。デザイン、ギミック、そしてライフスタイルで心底惚れ込んだ時計を装着したいではないか。PRW-5100には、その最有力候補となる資格が十二分にある。

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