ライティングフェア2011が、8日~11日の期間で、東京ビッグサイトで開催されている。ライティングフェアは、照明器具の総合展示会。1月に行われたライティングジャパンが、照明の製造装置や部材などを中心とした展示会であったのに対して、ライティングフェアは、どちらかというと、製品そのものの展示会という色合いが強い。今年のライティングフェアでは、一部で、有機EL照明やCCFLなどの展示も見られるが、会場のほとんどはLED照明一色という状態だ。家電チャンネルでは、フェア会場の展示のうち、我々が家庭で使用する、あるいは使用する可能性のある製品/技術の展示について、レポートしたい。
LED電球は、高輝度+αへ
多くのブースで展示されているのが、LED電球。ライティングフェア2011でも、LED電球の基本的な流れが高輝度化であることは、従来と変わりはない。現在市販されているLED電球では、白熱電球の60W相当クラス(800lm前後)のものが、いわゆる高輝度タイプということになる。会場では、これら市販品を上回る高輝度タイプのLED電球が数多く出展されている。しかし、国内メーカーの多くは、輝度だけでなく、演色性の高さや、配光角への取り組みも進めている。
演色性に関しては、東芝ライテックブースの先端技術コーナで、新しい試みが展示されている。従来のLED電球に取り付けるだけで、演色性能を向上させるカバーだ。ランプ自体に加工を加えないで、高い演色性能を実現する。今回はあくまでも参考出展で、発売時期や、製品の形態が、ランプと組み合わせた形になるのか、それともカバー単体で販売されるのかといったことも、現時点では決定していないとのことだ。
パナソニック電工のブースでは、演色性だけでなく、人の肌をより美しく見せる光を実現する「美光色」LEDを参考出展している。演色性能を示す値「Ra」は、白熱電球の色をもとに定められており、100が最高値。ブースでは、Ra70程度の高出力タイプのLED電球と、Ra80以上の講演色タイプのLED電球、そして美光色LEDとで、色の出方の違いを比較している。Ra70程度のLEDでは、他の2つと異なり、赤がくすんでしまうが、高演色タイプのLED電球と美光色LEDでは、そのようなことは起こらない。高演色LED電球と美光色LED電球との違いは、黄色の部分。高演色LED電球では、黄色が強く、黄色~オレンジのあたりがぼやけてしまうのに対して、美光色LEDの場合には、この区別もはっきりしている。美光色LEDは参考出展だが、今後、この技術を取り入れたLED電球を発売していくとのことだ。
配光角については、パナソニック電工が1月26日に発表した「LDA7D-G」が、現時点での業界No.1。大きめのグローブと、二重構造のリフレクターを採用することで、この配光角を実現している。また、東芝ライテックでも、7日に260度の配光角を持つLED電球を発表している。会場にも、この製品は展示されているが、それとは別に、270度の配光角を持つ製品が参考出展されていた。配光だけではなく、同社の現在のラインナップにはない1100lm(白熱電球70~80W相当)の高輝度も実現している。さらに、日立アプライアンスも、配光の広いLEDランプを参考出展。展示されているのは試作段階のLED電球だが、約300度の配光角を実現している。
300度の配光角を実現している、パナソニック電工のLDA7D-G |
東芝ライテックが参考出展している広配光角のLED電球。7日に発表したLDA8L-G/LDA8N-Gでは、グローブ底面にLEDが設置されていたが、展示モデルでは光はグローブの中心から発している |
日立アプライアンスが参考出展している広配光タイプのLED電球(中)。左は白熱電球で、右は一般的な配光のLED電球 |
LEDシーリングライトのラインナップも増加 - 従来デザインとLEDならではのデザイン
現在、シャープ、パナソニック、東芝ライテックなどが、LEDシーリングライトを発売しているが、他社も製品化に向けた開発を進めている。先行しているメーカーが、従来の蛍光灯を使用したシーリングライトとはかけ離れたデザインを採用しているのに対して、NECライティングのブースでは、蛍光灯を使用したシーリングライトに近い形状のLEDシーリングライトを展示。現在使用している器具と交換した場合でも違和感のないデザインが特徴だ。ただし、右側のモデルでは、デザイン自体は蛍光灯を使用したシーリングライトを蹈襲しているが、大幅な薄型化が行われている。日立アプライアンスブースでも、蛍光灯を使用したシーリングライトに近い形状のLEDシーリングライトを展示。ただし、展示されている器具はまだ試作段階で、製品化はまだ先とのことだ。
東芝ライテックが7日に発表した「丸形LEDシーリングライト」 |
薄型の本体から天井側にも光が向かう |
NECライティングのLEDシーリングライト。従来の蛍光管を使用したシーリングライトに近いデザインを採用する |
こちらはNECライティングが参考出展しているペンダント。LEDを円周上に配置し、導光板を使用して面発光を実現している |
日立アプライアンスが参考出展しているシーリングライト |
パナソニック、ワンコアタイプの住宅用LED照明を展示
パナソニックでは、8日にワンコアタイプのLEDモジュールを使用した住宅用LED照明器具244製品を発表しており、その中の主要製品である、ダイニングペンダントやダウンライトなどが同ブースに展示されている。ワンンコアタイプでは、LEDパッケージを複数使用した照明器具に比べて、多重の影が現れず、自然な光を実現する。ダイニングペンダントは、電源部を別体型とすることで本体の小型化を実現。本体の厚みは3cm程度。同社によると、ワンコアで十分な明るさを得られるようになったことで、補助照明だけでなくメインの照明器具でも、自由なデザインが可能になったとのことだ。
また、同ブースには、lxに替わる新しい指標「Feu」の解説コーナーも設けられている。lxが、床面での明るさを示すのに対して、Feuは、その部屋に暮らす人の視点での明るさを表すもの。Feuを使用したライティング設計をすることで、より効果的な空間演出や、無駄な光を抑えたバランスのよいライティングが可能になるという。
製品化が近づく有機EL照明
8日に、有機EL照明を2011年度中に商品化すると発表したNECライティングのブースでは、試作モデルの展示が行われている。同社の有機EL照明は、フレキシブルな有機ELの特性を生かした、高いデザイン性が特徴。なお、有機ELというと、話題になるパネルの寿命だが、同社によると、約1万5,000時間程度とのこと。商品化の際には、パネルはあらかじめ本体に付属するが、それ以外に消耗品としても入手可能にするとのことだ。ただし、パネルと器具との取り付け部分の規格が存在していない点など、今後の課題となる部分も存在している。