アプリ提供ルートは今後の課題

さて、ソフトウェア面での使用感であるが、Android端末としては非常にオーソドックスで、独自のアプリケーションは用意されていない。ただし、ファイル管理ソフトのES File Exploper、日本語入力システムのSimejiはプリインストールされている。

試用機のデスクトップは検索バー以外なにも配置されていなかった。5枚のデスクトップを利用できる

プリインストールされているアプリケーション。ES File ExplorerとSimejiのプリインストールが特徴となる

ウィジェットも追加でインストールされたものはなく、基本的にはAndroid標準のものとなる

ES File ExploerはSambaやFTPなどのネットワークファイル転送にも対応したファイル管理ソフト。内蔵フラッシュやmicroSDカードへのアクセスも可能で、Androidの自由さを感じられるアプリケーションといえるだろう。

ES File Explorerで端末内のファイルを表示させたところ。rootアクセスもできる

ES File Explorerではネットワークを介してのファイル参照も可能

また、これは試用機だけかも知れないのだが、本機はrootアクセスが可能になっていた。多くのAndroid端末では(ハック方法が広まることは多いが)基本的にユーザ権限でのアクセスになっているのが一般的だが、ちょっと珍しい仕様といえる。

SimejiはOpenWnn系列と並んで、Androidにおける日本語入力システムの定番アプリだ。フリック入力、トグル入力、QWERTY入力が可能で、設定により選択することができる。本製品のデフォルト設定では、横位置時には日本語・英語ともにQWERTY入力、縦位置時には日本語のみフリック入力となっている。キー入力の反応はまずまずだが、キーの中央をうまく判定できておらず、キーの右下部を押すようにすると入力ミスを防げるようであった。

Simejiの入力画面。縦位置での日本語(フリック)入力

Simejiの入力画面。縦位置での英語(QWERTY)入力

Simejiの入力画面。縦位置での数字・記号入力

Simejiの入力画面。横位置での日本語および英語(QWERTY)入力

Simejiの入力画面。横位置での数字・記号入力

WebブラウザはAndroid標準のものである。10.1型/1024×600ドットというとネットブックと同じクラスの液晶ディスプレイとなるが、インタフェースに無駄がなく、画面ほぼすべてにWebページが表示される点でネットブックよりも多くの情報を一画面で得ることができる。10.1型という画面サイズの大きさもあり、自動縮小による表示を行っても視認性が良いのも好ましく感じられた点だ。

縦位置利用時に、Webブラウザの自動調節を有効にした状態での表示範囲

横位置利用時に、Webブラウザの自動調節を有効にした状態での表示範囲

さて、先にAndroid 2.2を採用しているのでAdobe Flash Player 10.1をサポートする旨を記したが、本製品はGoogleが提供するAndroidマーケットには非対応である。そのため、現状では正規のルートでAdobe Flash Player 10.1をインストールして利用することができない。

試用機はAdobe Flash Player 10.1をインストールした状態で借用したもの。ユーザーへの提供方法については検討中とのこと

この点にはついてはマウスコンピューターも課題として認識しているようで、Adobe Flash Playerを含む、独自のアプリケーションの提供手段を構築したいとしている。

ちなみに今回の試用機は、Adobe Flash Player 10.1をインストールした状態で借用しており、その動作を確認することができた。Webブラウザ上でマイコミジャーナル記事中のムービーや、YouTube動画を再生できる。

マイコミジャーナルの記事中にある動画再生を、標準のWebブラウザで行っているところ

もちろんYouTubeの動画再生も可能だ。480p以下の再生はコマ落ちもなくスムース

ただし、YouTubeにアップロードされているHDムービーについて、1080pの動画再生はできないほか、720pでもコマ落ちが激しい。microSDカードにおいた720pのMP4動画は目立ったコマ落ちもなく再生できることから、YouTubeとの組み合わせでは、Adobe Flash Player 10.1によるTegraを利用したアクセラレーションが期待どおりに働いていないと見るべきだろう。

720pも再生は可能だったがコマ落ちする

1080p(&fmt=37指定)はエラーとなって再生そのものが行えない

このように、ソフトウェアの面では極めてシンプルなAndroid端末である。同じく10型クラスのタブレットの代表格であるiPadのようなエコシステムが確立されていないことから、買ってすぐにいろいろできる性格の製品ではない。とくにAndroidマーケットへのアクセスができない点は非常に残念で、独自のアプリ提供ルートは早期に構築してほしいと思う。

一方で、何の手も加えられておらず、かつrootアクセスができる状態であり、さまざまな手段を使ってAndroid端末をカスタマイズしていくことを楽しめるだろう。Androidで何かする前に、Androidそのものを触って楽しみたいユーザーには、第2世代Tegraを搭載するハードウェアにAndroid 2.2を採用するという本製品のスペックが魅力に映るのではないだろうか。