パナソニックは、10月6日まで実施した三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化に向けた株式公開買い付け(TOB)を終了し、これにより、三洋電機の80.98%、パソナニック電工の83.93%を取得することになる。

完全子会社化には3分の2以上の賛同が必要とされるが、今回のTOBによって、パナソニックは議決権ベースで3分の2を上回る株式数を確保するため、子会社化に向けた作業が一気に加速することになる。

大阪・門真市にあるパナソニック本社

TOBが終了し、パナソニックの完全子会社化が一気にすすむ三洋電機(左)とパナソニック電工(右)

買い付けを行う株式数は三洋電機が、18億9,146万9246株、パナソニック電工が2億3,798万8,184株、買い付け総額は、三洋電機が約2,610億円、パナソニック電工が約2,641億円となる。

公開買い付けは、パナソニック電工1株当たり1,110円、三洋電機1株当たり138円で行われた。

パナソニックでは、最大買付総額を8,184億円と想定。これをグループ手元資金で賄うとしていたものの、その後、必要に応じた資金調達のために、最大5,000億円の普通株式の発行を予定していた。だが、パナソニックでは、これを取り下げることも同時に発表した。同社では、今回の株式公開買い付けの結果などを考慮したとしており、手元資金などで賄うという。

今後は、10月14日に公開買い付けの決済が行われ、1月には、今回の買い付け価格と同一の価格を基準とした株式交換比率を発表。3月末までに三洋電機およびパナソニック電工の上場廃止が決定し、4月1日から完全子会社化することになる。なお、公開買い付け後の残った株式については、パナソニック株式との株式交換が行われることになる。

パナソニック 大坪文雄社長

パナソニックの大坪文雄社長は、「今回の完全子会社化で、家まるごと、ビルまるごとの提案ができるグローバルで唯一の企業グループになる。また、グローバル企業として負けないスピードが実現できるようになる。そうした強い思いのなかで、完全子会社化を決め、TOBを行ってきた」としたほか、「8月5日からそれぞれの事業におけるプロジェクトチームを設置し、シナジーを、大規模に、グローバルに展開するためにはどうするかといったことを、全社員の知恵を集めて取り組んでいる。経営統合に向けた進捗には自信を持っている。期待を持ってみていてほしい」などとした。

パナソニックでは、2012年1月をめどに「コンシューマ」「デバイス」「ソリューション」の3事業分野ごとに、3社の事業/販売部門を統合/再編する計画を示し、それぞれの事業特性に最適なビジネスモデルに再構築することを明らかにしている。