Silicon Laboratories(Silicon Labs)は8月25日、民生/産業/車載システム向けシステムで用いられる単方向ワイヤレスリンクのコストと複雑さを解消することを目的としてワイヤレスICソリューション「EZRadio」を発表。すでに第1段製品として、送信器「Si4010」および受信器「Si431x」のサンプル出荷を開始しており、価格はSi4010は1.40ドルから、Si431xは1.45ドルからとしている。

Si4010は、従来のSAWフィルタを活用したリモートコントロールシステムの簡素化を目指した1チップリモートコントロールソリューション。RF SAWフィルタやIFセラミックフィルタなどの外部部品が不要で、送信器として用いる場合、1個のバイパスコンデンサを組み合わせるだけでリモートコントロールシステムを構築することが可能となる。

Si4010の特徴とブロック図

1.8V~3.6Vまでの電源電圧に対応し、水晶素子を用いない独自の「クリスタルレスアーキテクチャ」を採用することで、外部クロックを不要としているほか、衝撃や振動への耐性を向上させている。

また、周波数は27~960MHzをサポート、周波数精度は±150/200ppmを実現しているほか、FSKならびにOOK変調に対応している。さらに、自動アンテナチューニングにより、ボタンを押すごとに最適なアンテナ整合を検出でき送信距離を最大化することが可能かつ、一定の出力を維持することが可能で、最大+10dBmの出力が可能となっている。

従来ソリューションとの比較。性能向上はもとより外部部品が減らせるので、製造コストの削減も可能となるというのが同社の主張

制御用マイコンコアには最適化済みの8051を採用。4KBのRAMおよび8KBのOTP NVM、128ビットのEEPROMが搭載されているほか、リモートコントロール機能を搭載した12KB ROMによりボタン押しルーチンやタイミング制御などが容易に行うことが可能となっている。

加えて、1ms未満の暗号化時間を達成した128ビットAESハードウェアアクセラレータを内蔵しているほか、スタンバイ電流10nAを実現。OOK変調による送信時でも14.2mA、FSK時で19.8mAの低消費電力を実現しており、仮に5年間、1日に50回ボタンを押して送信する場合、OOKモードでCR2032電池の使用量は52%程度、FSKモードで同71%で済むという。

このほか、同社では8051を搭載しないバージョンとして「Si4012」を用意している。こちらはSMBusを介して外部マイコンから連続的なデータストリーミングをサポートしており、FSKデータレート最大100KBaudワイヤレスMBUS T1モードに最適化が図られている。

「EZRadio」のラインナップ。開発キットも用意されている