ハイスペックを追求してPCを選択したり、自作をするようなユーザーならば1度は考えたことがあるのが「水冷」だろう。興味を持ちつつ水冷にチャレンジしていなかった人にはぜひ注目して欲しいのが、「Aqua-Master H55」。カスタムPCメーカーであるサイコムが提供する、手頃な価格で手に入るメンテナンスフリーな水冷マシンだ。

「Aqua-Master H55」

試用機の主な仕様 [CPU] Intel Core i5-670(3.47HGz) [チップセット] Intel H55 Express [メモリ] 4GB [HDD] 250GB [グラフィックス] ATI Radeon HD 5670 [OS] Windows 7 Home Premium [価格] BTO構成による(参考: 最小構成で73,800円~)

BTO PCのサイコムが提供するメンテナンスフリーの水冷マシン

サイコムは、カスタムPCの受注生産とPCパーツ販売を手がけるメーカーだ。特にカスタムPCは、自作するのと同程度の自由度を維持しながら確実な技術でマシンを作り上げてもらえることと、自作とは違ってサポートが受けられることが大きな魅力だ。基本構成のリストに対してオプションを利用してカスタマイズする方式ではあるのだが、モデルによっては変更できるメニューにケースまで入っているため、かなりこだわったパーツ構成のマシンを作り上げることができる。

また、大手メーカー製品にはなかなか登場しない、面白い技術を採用したマシンがあるのも魅力だ。「Aqua-Master」シリーズの最大の特徴は、水冷ユニットの採用だ。ハイスペックマシンの熱を効率良く冷やせる上に、上手くセッティングすれば静音化もできるというのが水冷システムの魅力だが、取り付けやメンテナンスの難しさ、トラブル時の被害の大きさなどから素人には手の出しづらい領域でもあった。しかしメンテナンスフリーの水冷ユニットである「Corsair CWCH50-1」を採用し、サイコムの技術で組み込んでもらうことで、それらの問題は解決される。水冷というものに興味はあるけれど、自分で手を出す自信はない、と尻込みしていた人はうってつけだ。

サイコムの水冷PCシリーズには、ATXのモデルが3つ、マイクロATXモデルが2つラインナップされているが、今回試用した「Aqua-Master H55」はマイクロATXのコンパクトなタイプだ。ケースは人気の静音ケースである「Antec Mini P180」を標準採用。電源投入時にはフロントの扉を開いてボタンを押すことになる。光学ドライブやカードリーダーは扉内部にあるため、開閉を妨げる形で棚などが存在する場所には設置できないが、電源を押すだけならば扉のスリットから指先を押し込むようにしてボタンを押してしまうこともできる。

実際に電源を投入してみると、かなり静かだ。ケース上部には大きな開口部があり、背面とともにファンが回っているのだが、その音はほとんど気にならない。特にフロントの扉を閉じておくと、非常に静かだと感じられた。エアコンを利用している室内での試用だったが、よほど注意して聞いてみないことには、起動中なのか電源オフ状態なのかもよくわからないほどだ。

フロント扉を開くとメッシュ状になったパネルから中のわずかな動作音自体は聞こえるが、この状態でも気になるほどではない。音を確認しようと顔を寄せると、なんとなく風が感じられた。電源投入直後であっても特に大きな音はなく、背面と上面に抜ける排気も心地よい冷たさだ。

フロントの扉を開いた様子。閉じたままでも露出する部分にUSB 2.0ポート×2、eSATAポート×1、オーディオポートを配置。扉内部にUSB 2.0ポート×1、各種カードリーダが配置されている