コンパクトボディに詰まった最新プラットフォーム

ThinkPad X201sが搭載するCPUは、TDP25Wの低消費電力向けプロセッサ「Core i7-620LM」だ。このCPUはデュアルコアであるものの、Core i7という名の通りモバイル向けとしては相当強力なパフォーマンスを持っている。まずHyper-Threadingで、本CPUはデュアルコアだが、Hyper-Threadingによって4つのスレッドを同時実行できる性能を持っている。次にTurbo Boostで、定格クロックは2.0GHzだが、Turbo Boost時には最大2.8GHzまで動作周波数を高め、性能を向上させる。

搭載するCPUはCore i7-620LM。定格クロックは2.0GHzだが、TurboBoostによって自動的に最大2.8GHzまで引き上げられる。32nmプロセスで製造されるArrandaleであり、消費電力も抑えられている

タスクマネージャから見ると4スレッド対応であることが確認できる。Core i7-620LMはデュアルコアだが、Hyper-Threadingにも対応しており、4スレッドの同時実行性能を持つ

統合されたグラフィックス機能もポイントで、例えばThinkPad X200の場合、グラフィックス機能はチップセットに統合されたものを利用していたのだが、X201sからはプラットフォームが更新され、CPUにグラフィックス機能が取り込まれた。性能的にもメリットがあるが、とくにX201sの場合は発熱と冷却にメリットがあるだろう。グラフィックス回路はより微細な45nmプロセス製造となることで発熱量が減り、32nmプロセスで製造されるCPUとともに熱源も一箇所で管理できることになる。カスタマイズモデルでは2.13GHzのCore i7-640LMも選択可能となっており、X201sは、本体サイズがひとつ大きなTシリーズにも迫るパフォーマンスを、この小さなボディに搭載できるわけだ。

なお、X201sは低消費電力版CPUを採用するわけだが、これを通常版(TDP35W)を搭載するX201標準モデルとバッテリ駆動時間で比較すると、0.3時間ほどの違いが出る。また、ThinkPad X201s(X201シリーズ共通だが)にはバッテリ駆動時間をさらに延長できるオプションもある。代表的なオプションが大容量バッテリで、標準で付属する4セルのほかに、6セルのものと9セルのものが用意されている。9セルに関しては標準バッテリの2倍以上の容量があり、大幅なバッテリ駆動時間の延長が見込める。

標準搭載されているのは4セルタイプのバッテリ。オプションには6セル、9セルタイプも用意されている。ACアダプタはコンパクトでモバイル向きの65Wタイプ

その他のハードウェアについて、まずはHDDから紹介していこう。HDDが搭載されているのは本体の向かって右側にあるベイだ。ネジ1本でアクセスできるこのベイの内部には、ごく一般的な2.5型HDDが搭載されている。X201s標準モデルの場合は5,400rpmの320GB HDD。カスタマイズでは7,200rpmの高速ドライブや最大容量では500GBまで用意されており、128GB SSDを選択することも可能だ。そして保証外の行為ながら、一般的な2.5型HDD規格を採用しているため、ユーザー自身がこれを自由に交換することもできる。2.5型SSDは種類も豊富に流通しており、ここ近年価格も手ごろなものから揃ってきている。ここは同じスリムを追求したモデル、例えばT410sのようにまだ市場にほとんど流通していない1.8型ドライブを採用したモデルに対しての大きなメリットとなる。

X201シリーズはT410シリーズと異なり2.5型ストレージを採用。HDD搭載モデルではThinkVantage ハードディスク・アクティブプロテクションシステムによって衝撃などから守られている

メモリはDDR3のSO-DIMMを2スロット用意している。メモリスロットは底面にベイが用意されており、ネジ2つでアクセスできる。標準で搭載されているのは2GBモジュール×1枚で、最大搭載量は8GBだ。標準搭載OSがWindows 7 Professional 32bit版であるため、8GBまで搭載した場合には64bit版に乗り替えないとフルに利用することはできないことになる。

底面のカバー内にメモリスロット2基を搭載。標準で搭載されているのはDDR3 SO-DIMMの2GBモジュール1枚だが、最大8GBまで増設可能だ

なお、言うまでもないかもしれないが、HDDやメモリに限らず、ThinkPadシリーズは内部ハードウェアにアクセスするのが非常に簡単だ。底面の刻印に従ってネジを外し、キーボードを取り外せばmini PCIeスロットなどにもアクセスできる。内部レイアウトは、左上にCPUクーラー、左下にExpressCardスロット、右下にmini PCIeスロット×2基、右上にHDDベイといった具合だ。

ThinkPad X201sの内部。右手前にはmini PCIeスロットが2基、その上にHDD、左にはExpressCardスロット等が確認できる

底面にはそのほかウルトラベースと接続するための端子を装備。ドックであるウルトラベースは、外部ディスプレイ出力やUSBなどの各種インタフェースを備えるほか、ベイを利用し光学ドライブを増設することも可能だ

また、X201s標準モデルは無線ネットワークのモジュールとして、標準でWiMAXに対応しているIntel WiMAX/WiFi Link 6250AGNを搭載している。国内でWiMAX通信網を展開するUQ WiMAXは、順調にエリアを拡大しており、都市部を中心にかなりのエリアがカバーされてきている。WiFiよりも広範囲で、3G WWANよりも高速なWiMAXによっていつでもネットワークに接続できることは、ビジネスにとって大きな武器となるだろう。残るは3G WWAN対応だけというところ。最近ではWiFi、WiMAX、3G WWANのトリプル対応ノートが話題となっており、ThinkPadでもこれを期待したい。

ThinkVantage AccessConnectionsによって無線、有線にまたがってネットワーク接続を管理・制御できる。もちろんUQ WiMAXにも接続可能だ

有線LANはIntel 82577LMチップによって1000BASE-T/100Base-T/10Base-Tに対応している。先に紹介したとおり本体左側面にLAN端子があるほか、ドッキングステーションのウルトラベースにもLAN端子を装備している。ThinkPad標準のネットワークユーティリティ「ThinkVantage AccessConnections」と合わせて、オフィスの有線ネットワークから、モバイルのWiMAX/WiFiへとスムーズに切り替えが可能だ。

その他のハードウェア構成。WiMAXに対応したIntel WiMAX/WiFi Link 6250AGNや有線LANにはGbEのIntel 82577LM、セキュリティを高めるTPM 1.2モジュールも搭載されている。さらにチップセットにIntel QM57 Expressを採用していることからインテルAMTにも対応する