CESには、Lenovoのブースはなかったものの、CESのプレス向けイベントなどには、Lenovoは積極的に参加していた。ここでは、CESのイベント(CES Unveiled)やLenovoのプレスカンファレンスを通して、同社の動向を見ていくことにしよう。

コンシューマ分野に本格参入

IBMからPCビジネスを引き継いだLenovo社は、当然、ビジネス向けのPCに注力していた。もちろん、一部は一般小売店でも販売されていたが、メインのビジネスは、従来とおなじく企業ユーザー向けPCとして、代理店や直販サイトなどが中心だった。

今回のCESで、Lenovo社が積極的に出てきた理由は、コンシューマ市場への参入のためだ。IBMからビジネスを引き継いだのが2004年。2008年には、IBMロゴの利用権も返却し、Lenovoブランドを利用している。その理由は、ビジネスが好調だったからと伝えられている。IBMからPC事業を引き継いで5年が経過し、同社は、本格的にコンシューマビジネスに参入することを発表した。

製品としては、コンシューマ向けのPCも用意されるが、メインになりそうなのは、SnapDragon CPUとLinuxを使った製品群だ。CESで同社は、以下のような製品を発表している。

  • Skylight
  • IdeaPad U1
  • LePhone (楽Phone)

Skeylightは、SnapDragon CPUを使い、3G通信機能を内蔵した「スマートブック(ARM版ネットブック)とでもいうべき製品。コンパクトな筐体で、Linuxをメインのオペレーティングシステムとしている。

Skylight。クラムシェル型だが、中身はARM系プロセッサ(SnapDragon 1GHz)を使うLinuxマシン

外部記憶は、この専用USBメモリを使い、これをPCに装着してデータを交換することもできる

携帯電話やスマートフォンに使うSnapDragonを使うため、筐体は薄く、コンパクト

おもしろいのは、本体内には、大きな外部記憶を持たず、専用のUSBメモリやメモリカードスロットをユーザーデータ記録用として使う点。ハードウェアが壊れたとしても、USBメモリやSIMカードを差し替えるだけで、新しいものに簡単に乗り換えることができる。このSkylightは、AT&Tと提携し、同社が販売を行う予定だが、999ドルでの単体販売も予定されているとのこと。ただ、この999ドルは、AT&T側での販売を後押しするための価格付けのためと考えられる。AT&Tで契約込みで購入するならかなり安くなるのであろう。おそらくLenovo自身も、999ドルのSkylightが大量に売れるとは思っていないはずだ。

IdeaPad U1は、「Hybrid PC」とも呼ばれ、Windows 7を搭載したPCでありながら、液晶部分を外すと、単独で「スマートブック」になるというものだ。液晶側は、SnapDragon CPUとLinux(Skylightのものをベースにしているという)を採用し3G通信機能もこちらがわにあるという。メールやWeb閲覧だけなら、液晶側のみを使い、本格的なPCが必要なときにはドッキングさせて使うということを想定しているようだ。なお、PC側液晶側が動作中でも、ドッキング、取り外しは可能で、ドッキング中は、常にWindowsの画面が表示され、取り外すとLinux側の画面に切り替わるという。

IdeaPad U1。見た目は、普通のクラムシェル型のノートPC。液晶部分は取り外せるようになっていて、天板部分は透明なプラスティックになっている

液晶部分と本体部分がだいたい同じぐらいの厚さ。ただ、全体としては普通の厚みになっている

底面部分。比較的シンプルで、スリットの模様が、中国の王宮やラーメンのドンブリを思わせる

液晶側には、ARM系プロセッサが内蔵されていて、バッテリで動作する。こちら側では、SkylightのものをベースにしたLinuxが動作しているという

最後のLePhoneは、中国向けに販売が開始されるスマートフォンで、これもSnapDragon CPUを搭載、オペレーティングシステムは、LinuxをベースにしたAndroidだと言われている。おもしろいのは、専用のドッキングステーションを持ち、これに装着することで、フルキーボードなどが利用可能になる。スマートフォンながら、PC的なセンスで作られている。ドッキングステーションとの組合せは、IdeaPad U1をそのまま携帯電話サイズに縮小したかのようである。なお、ロゴなどでは「楽Phone」という表記になっている。出荷は、今年5月で、価格や販売する事業者などは未発表である。

LePhone。全面タッチパネルのスマートフォン。こちらもSnapDragonを採用しているという

専用のドッキングステーションに装着すると、フルキーを持つ、コンパクトなクラムシェル型となる

ドッキングステーション(写真左)とLePhone