Dragonfly~マイクロソフトが提案するプログラマブル電子ブロック!?

電子パーツをモジュール化した学習/実験キットとして日本では学研の電子ブロックシリーズが有名だ。

マイクロソフトが展示していたのはこの電子ブロックのコンセプトのモジュールをより高度化してプログラマブルに拡張したとも言えるもの。短期的に製品化の予定はないとのことだが、プロジェクト名としては「Dragonfly」という名前が付けられている。

マイクロソフト、Dragonflyブース

学研の電子ブロックはトランジスタ、コンデンサといった電子部品単位でパーツが構成されていたが、Dragonflyでは、もう少し次元の高い「機能パーツ」単位となっている。

具体的には液晶ディスプレイ、ARMプロセッサ搭載のCPUボード、CCDカメラ、メモリカードリーダー、加速度センサー、通信モジュール、サウンドデバイスなどがあり、ブースではこれらのパーツを組み合わせて作ったサンプルプロダクトが展示されていた。

各モジュールはDragonfly規格のハーネスでディジーチェーン接続できるのが特徴。半田ごてで配線の必要がないわけだ。

CPUボードはマイクロソフト.NETフレームワークに対応しており、C#プログラミングに対応している。学研の電子ブロックでは「ある機能を持ったハードウェア」を構成するものだったが、マイクロソフトのDragonflyでは「各デバイスをソフトウェアで結んだ有機的な機能」を与えられる特徴があるのだ。

Dragonflyプロジェクトの構成パーツ群

例えばCPUボードとCCDカメラとメモリカードリーダーを組み合わせればデジカメが構成できる。液晶ディスプレイとCPUボードと適当なスイッチを組み合わせればゲーム機も作れるかも知れない。これにスピーカーを組み合わせればポータブルオーディオプレイヤーにもできるかも知れない。音楽プレイヤーに振動センサーを組み合わせ、自身が揺れたら音を鳴らすような、シンプルなセキュリティデバイスも構成できる。

Dragonflyの目的の1つは学習機材として。電子ガジェットがどのように構成されているかを、学ぶには確かに最適な教材となることだろう。

もう一つは、プロトタイプの制作手段として。何らかのアイディア先行型の変わった電子ガジェット商品を企画する際に、動作速度やクオリティはともかくとして、Dragonflyならば短期間でプロトタイプが制作できる。これは、製品化にあたっての展望を考察したり、問題点の洗い出しをするのにはおあつらえ向きだ。

学研の電子ブロックと比較して、Dragonflyの構成パーツは、その1つ1つがそこそこ高価なので、なかなか個人向けトイとはなりそうにない。ただ、唯一無二なこのプロジェクトを埋もれさせてしまうには惜しい。最初は企業や教育機関向けに限定していてもいいから、是非とも製品化に漕ぎ着けて欲しいプロジェクトだ。

4インチの液晶画面付きミュージックプレイヤーとした作例

画面を伏せるとサウンドが鳴り響くという仕掛け。外装部分はDragonflyプロジェクトには含まれないので、この作例のケースは自作。樹脂積層型の3Dプリンタによって作ったのだとか

各種小型スイッチ、低解像度液晶画面とCPUボードを組み合わせて簡単な小型ゲーム機を構成。C#でのプログラミングができるのでそこそこのGUIやゲームロジックは実装可能

人が通ったら音が鳴るセキュリティデバイスの作例

まったくは意味がないオブジェ。こういう立体アートを製作する際にもDragonflyは役立つかも?

ユラユラと揺れ動くデジタル時計。このように構成する意味はないが、なんだか見ていて楽しくなるアートっぽい作例

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