ハリウッド・エンタテインメント業界で活躍するCGアーティスト・X-Ray氏を招いた特別授業「ハリウッドCGプロダクション テクニカル&クリエイティブセミナー」が、デジタルハリウッド東京本校で開催された。

X-Ray氏は、デジタル・ドメイン社にて映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)をはじめ『アポロ13』(1995)、『タイタニック』(1997)などのビジュアルエフェクトを担当。またナイキやアディダス、日産など多くのコマーシャルも手掛けている。

これまでに様々な作品のCGを手がけてきたCGアーティスト・X-Ray氏

CGクリエイターとしてのターニングポイント

X-Ray氏は、12歳の頃に見た映画『TRON』(1982)を見てCGに興味を持ち、プログラムを書き始めた。10代からCG制作を行うが、本格的な取り組みを始めたのは大学卒業後だったという。きっかけは、QuickTimeエヴァンジェリストのDAVID VAN BRINK氏から「Warhol(当時のQuickTimeのコードネーム)」を教えてもらったこと。ネットワークの仕組みや「Photoshop」や「Director」、「Premire Pro」、「Infinity」などのツールを学び、「Hyper Card」を使って映像作品の制作を進めていった。その後、ゲームのテスターを経て、デジタル・ドメイン社に入社。初期は映像とは関係ない仕事ばかりだったが、1994年に転機が訪れた。

「フロリダでのSIGGRAPHに僕は連れて行ってもらえなくて社内に残っていたら、突然映画『インタビュー・ウィズ・バンパイア』のデジタルレタッチが必要だと言われたんだ。そこで僕は、技術的なことはあまり知らなかったけど、とにかく『やります!』って手を上げたんだ(笑)。技術は作業しながら身につけていきましたね」

映画『インタビュー・ウィズ・バンパイア』では、ブラッド・ピットの血管の浮き上がりを微妙に強調したり、メイクを美しくレタッチする作業が中心だった。その後映画『タイタニック』で初めて自分が専門としていたクラウドアニメーションを担当。当時の制作内容を元に、3Dアニメーションや「スプライトベース技術(単純な2Dグラフィック)」をどのように用いたか、そのレイヤー構造などもメイキング映像を用いて紹介した。