エンコードにも使えるか?

IONプラットフォームの利点として、グラフィックス能力の高さ以外にあげられるのは、CUDAが利用できることだ。この1カ月くらいでも、CyberLinkの「MediaShow Espresso」、Neroの「Move it」、LoiLoの「Super LoiLoScope MARS」など、動画編集関連でCUDA対応のアプリケーションがずいぶんと増えてきた。最後に、CUDAの利用による効果も確かめてみたい。

今回使用したのは、先月末に発表されたばかりのMediaShow Espresso。製品WEBサイトから無料の体験版がダウンロードできるので、こちらを使って試してみた。素材は、カシオの「EX-FC100」で撮影したHDムービー(AVI/1,280×720/71秒)を使い、MP4フォーマットへの変換を行った。

シンプルなインタフェースの「MediaShow Espresso」

アイコンをクリックするだけで、適したファイルに変換

GPUのコア数は16個でしかなく、それほど大きな効果は期待できないが、もともとが非力なシングルコアCPUということもあってか、特に解像度の大きい場合で顕著な高速化が見られた。CPU使用率は、CUDA有効時が80~90%程度で推移していたのに対し、CUDA無効時にはほぼ100%。消費電力は、有効/無効時ともにほとんど変わらず43W程度だった。

エンコード時間の比較。短い方が高速だ

総評

今回、主にパフォーマンスの面で検証を行ったが、従来のAtomマザーボードで弱点と見られていたグラフィックス能力が、大幅に強化されていることが改めて確認できた。CUDAによるエンコード時間の短縮も魅力だ。今回テストはしなかったが、Blu-ray再生にも対応するということなので、メディアプレイヤーのような使い方も可能だろう。

IONプラットフォームを採用した製品としては、Acerから超小型PC「AspireRevo」も発表されている。コンパクトさを重視するようならAspireRevo、大容量HDDや光学ドライブなどを自由に選択したければIONITXを選べばいいだろう。Mini-ITXマザーボード、超小型デスクトップPCとくれば、あとはノートPCの登場も期待したいところだ。

■IONITX-B-Eの主な仕様
CPU Intel Atom 230(シングルコア/1.6GHz)
チップセット NVIDIA ION
メモリ DDR2-800×2スロット(最大4GB)
グラフィックス NVIDIA ION(チップセット内蔵)
ストリームプロセッサ 16基
コアクロック 450MHz
シェーダクロック 1100MHz
オーディオ 5.1ch HDオーディオ
LAN 10/100/1000Mbps
SATA 3(RAID 0/1/0+1)
eSATA 1
USB 10(バックパネル6+ピンヘッダ4)
拡張スロット Mini PCI Express×1スロット
バックパネルI/O PS/2(キーボード)、USB×6、eSATA、LAN、DVI、HDMI、VGA、オーディオ、S/PDIF