CMOSイメージセンサ開発の米OmniVision Technologiesの日本法人であるオムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパンは4月22日、都内で記者会見を開催し、防犯・監視機器および自動車向けCMOSイメージセンサ「OV7960」「OV7962」の発表を行った。サンプル出荷は即日開始されており、サンプル価格は小ロット時で10ドル以下程度としている。なお、量産は早ければ2009年夏ころには開始される予定とのこと。
オムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパンの代表取締役社長である薄井明英氏は、セキュリティや自動車向けのイメージセンサについて、「セキュリティ系は駐車場などの低照度の部分をいかに映すか、自動車でも暗い場所の撮像、リアビューなどへの要求が高まっている」とし、そうした要求に対応するために、高感度を実現する技術を採用。CMOSイメージセンサとして12V/lux-secを実現し、1luxしかないような暗い場所でも色再現性良く映像を撮影することが可能だとした。
2製品ともに、SoC型CMOSイメージセンサで、パッケージとしては、CLCC、QFP、Mini-Pacのほか、セルフセンタリングBGAタイプのautomotive CSP(aCSP)を用意。aCSPのサイズは6.67mm×7.12mm×0.71mmで、温度もー40℃~105℃に対応しておりAEC-Q100についても8月には取得できる予定だという。
ダイナミックレンジは60~73dBで有効画素数は768×576、画素サイズは6μm×6μm。出力はOV7960がNTSCとPAL方式、OV7962がそれにデジタルプログレッシブが追加されている。ちなみにプロセスはISP部分、センサ部分ともに110nmプロセスを採用しており、ISPの機能改善によりAWBなどが改善され高性能化につながったとする。
OmniVisionのSr. Technical Product Manager,AutomotiveであるJeffrey Morin氏は、自動車向けCMOSイメージセンサの動向について、「カメラ付き自動車の数は、新車登録台数だけを見ても2008年の20%程度から、米国でリアビューカメラの搭載が義務付けられる2011年ころには市場が拡大し、2012年にはその比率は70%程度まで拡大することが予測される」と語る。このほか、ドライブレコーダやスマートエアバッグへの適用なども予測される。
こうした用途に対応するため、感度以外にもOV7960/OV7962にはさまざまな機能が搭載されている。黒レベルの自動補正やマルチカラー、マルチレイヤ、ダイナミック・オーバーレイなどに対応している。
特にオーバーレイは、シンプルなSPIインタフェースを採用し、カスタマがオーバーレイをどう使いたいかにより、メモリサイズをフレキシブルに決定することが可能であるため、カメラの実装の自由度が高く設定されている。
4層のレイヤで、それぞれのレイヤのオン/オフの切り替えが可能なほか、それぞれのレイヤは16色まで使用することが可能となっている。
さらに、ダイナミック・オーバーレイも4層のレイヤで、すべてがダイナミック・オーバーレイに対応しているほか、1024までのイメージファイルの使用が可能。加えて、8階調の濃淡を表現可能であり、ガイドラインはフェードアウトさせることも可能となっている。
このほか、センサと組み合わされるレンズに関しては、レンズメーカーと共同でOV7960/7962に搭載した独自の歪み補正機能に対応したレンズを開発、これによりカスタマが余分に補正回路にコストを支払うことを不要としているという。なお、カスタマの要望があれば、別のレンズの開発などの協力も行っていくという。
薄井氏は、「2製品について、車内ではCCDキラーと呼んでいる」としており、CCD以上の高性能を持つCMOSイメージセンサとして、高性能と低コストの両立を武器に自動車メーカーなどに提案をしていくとしている。