データを自動消去し、情報漏えいを防ぐ

すでに小誌でもお伝えしているが、富士通は富士通研究所の成果として自動データ消去機能を備えたUSBメモリを発表した。

自動消去機能を備えたUSBメモリ

USBメモリの内部

USBメモリには、メモリのほか、CPU、クロックを内蔵しており、指定された時間、あるいはバッテリが切れそうになるとデータを自動的に消去する。バッテリは内部にあるコンデンサに貯められる。充電はUSBでパソコンに接続されたときに行われるが、1-2分でフル充電になるという。これで9日間のデータ保持が可能だという。

ただし、自動消去に対応するのは40MB分のみ。試作品ではUSBメモリ自体は全体で容量2GBだというが、データを9日間保持し、その後確実にデータ消去できる容量が40MBだという。残りは通常のUSBメモリと同じ扱いだ。保持日数を減らせば、対象の容量を増やすことは可能だということだが、どのあたりでバランスを取るかは、今後社内での試験運用を経て決定するという。

ポリシー設定画面

また、PC内のBIOS情報を読み取り、許可されたPC以外に接続された場合に自動消去するなどの対応も可能だ。

そのほか、保存データのメールへの添付不可、印刷禁止、PCのハードディスクへの保存禁止などの制御も行えるという。

課題はコストで、試作品の段階では1万円を超える価格になるという。

毎秒30フレームの撮影で、静止なしでの認証可能な手のひら静脈認証

富士通では、すでに非接触型の手のひら静脈認証装置「PalmSecure(パームセキュア)」を製品化しているが、手のひらを一定の距離でかざす必要があった。今回富士通が開発したのは、手のひらが動いている最中でも、被写体ぶれを生じないような高速シャッターで撮影する新しい方式の認証装置で、毎秒1メートル程度の動きでも認証可能だという。

今回の試作品では、ぶれを生じない高速な撮影技術と最適な画像の自動抽出技術が新たに開発された。

開発した手のひら認証の試作機

ぶれない撮影では、毎秒30フレームの速さで撮影してぶれを防止、そのために1ミリ秒の撮影で十分な画質を得られるように照明の制御、および撮影光学系の構成を最適化したという。

最適な画像の自動抽出技術では、撮影した連続撮影画像から認証に最適な画像を自動的に識別できる機能を新たに開発したという。

手のひらを装置に近づけていくだけで、静止することなく認証が可能

今後は撮影モジュールの小型化、低コストを図り、製品化を目指すという。