世界から女性の支持を集める「ELLE」のデジタルメディア戦略とは?
仏ラガルデール・アクティブ(旧アシェット・フィリパッキ・メディア)のデジタル&ニュービジネス担当CEOである、Julien BILLOT(ジュリアン・ビヨ)氏が来日し、同社のデジタルメディア戦略について明らかにした。同社は、ファッション雑誌「ELLE(エル)」の日本版「ELLE Japon(エル・ジャポン)」をはじめ、「25ans(ヴァンサンカン)」「婦人画報」「MEN'S CLUB」などを日本で出版するアシェット婦人画報社の親会社。日本でも今後、デジタルビジネスを加速する姿勢を見せる。ビヨ氏に、全世界における同社のデジタルメディア事業への取り組みについて、また、日本における今後の展開について聞いた。
仏Lagardere Active(ラガルデール・アクティブ) Digital and New Business CEO Julien BILLOT氏に、日本におけるELLEの新たな展開について伺った |
――まずラガルデール・アクティブの概要について教えてください
ビヨ氏 ラガルデール・アクティブは、ラガルデールグループのメディア部門であり、現在、売上高で20億ユーロ(約2,500億円)、営業利益では2億ユーロ(約250億円)を計上しています。フランス/ 日本/ ロシア/ 中国・香港/ 英国/ スペイン/ イタリア/ 米国など、世界42カ国において、雑誌で220種以上、ラジオ27局、テレビの専門チャンネル9局を展開しています。一部にはライセンスによって、雑誌を発行したり、洋服やアクセサリーにELLEブランドを冠した製品を販売したりする事業もあります。
日本では、ラガルデール・アクティブが99.97%出資するアシェット・フィリパッキ・プレスの子会社であるアシェット婦人画報社が、雑誌・インターネット・ライセンスビジネスを展開中です。さらに、先日、資本・業務提携を発表した住友商事との協業により、新たにeコマースビジネスに参入することになります。
――全世界におけるデジタルビジネスの構成比はどの程度ですか
ビヨ氏 当社は、ELLE ONLINEなどのインターネットサイトを展開しており、ユニークユーザー(UU)数は、全世界で約2,000万UU。そのうち、日本では120万UU、中国では500万UU、フランスや米国ではそれぞれ250万UUに達しています。我々がインターネットビジネスを本格化させたのは2年前で、当時は全世界でもわずか200万UUの規模しかなかった。これが2年間で10倍になり、日本でもこの6カ月間で2倍規模に拡大しています。
我々の目標は、ELLE ONLINEを、日本国内における女性向けハイエンドファッションサイトのリーダー的存在にすることです。昨年8月にサイトをリニューアルしたほか、9月には日本におけるデジタルメディア事業を推進できる体制を強化し、500万UUまで拡大する方針も打ち出しています。500万UUは、来年中までに達成したいと考えています。日本には約1億人のインターネットユーザーがいます。そのうち半分が女性だとすると、約5,000万人がELLE ONLINEの対象。そのうちの10%の人たちには、ELLE ONLINEにコネクションしてほしい。そう考えると、500万UUという数字が導き出される。もちろん、10%に留まらず、もっと多くの人に接続してほしいと思っています。
2006年におけるデジタルメディア事業の売り上げ構成比は1%にも満たなかったのですが、2008年は6.2%にまで拡大しました。そして、2009年には7~8%になり、2015年ぐらいまでには15%前後に拡大させたい。2008年の売上高は1億3,000万ユーロ(約160億円)。これを、2009年には2億ユーロ(約250億円)に拡大する計画です。ELLE ONLINE以外にも、複数のサイトが貢献することになるでしょう。