Windows 7 Betaが登場

こうしたMicrosoftのビジョンを体現する製品の1つが「Windows 7」だ。Vistaまでに培った安定性を維持しつつ、ネットワークの親和性を高め、デバイスの接続性を向上し、さらにUIを進化させる。(Microsoftでは認めていないが)Vistaのローンチが低調に進むなか、Microsoft自身だけでなく、周囲のビジネスパートナーもWindows 7に期待を寄せている。Windows 7のスクリーンショットが公式に発表されたのは昨年10月に米カリフォルニア州ロサンゼルスで開催された開発者カンファレンスのPDC 08で、同会場ではベータ版の前段階となる"プレ"ベータ版がイベント参加者に配布されている。PDCでデモが紹介された最新ビルドでは新しいタスクバーを搭載したWindows 7だったが、このプレベータ版はUIが現行のVistaとほぼ同等のもので目新しさはない。Windows 7の基本機能を理解して、2009年末または2010年初頭といわれる本製品のリリースに備えてほしいというのが同社の趣旨だ。

PDC、WinHECではベータ版のさらに前段階にあたる"プリベータ"版のWindows 7を配布したMicrosoftだが、ようやく正式なWindows 7のベータ版を9日よりリリース

Ballmer氏はこのWindows 7について、米国時間の9日よりベータ版のダウンロード提供を開始すると発表した(日本語版は13日から)。開発者はMSDNまたはTechNetから最新ビルド、つまりベータ版のダウンロードが可能になる。ステージ上のデモでは一部でPtoPネットワークでの流出が伝えられているBuild 7000が使われており、これがそのままベータ版として提供されるとみられる。キリ番という縁起のいい数字に加え、Windows 7の"7"にかけたBuildのため、タイミング的にはちょうどいいかもしれない。

Windows 7ベータを起動したところ。画面端の数字が切れているので正確には確認できないが、おそらく最新のBuild 7000とみられる。プリベータ版にはなかった最新UIが搭載されており、Vistaとは大きく差別化が図られている。画面はタスクバージョンのボタンでデスクトップ透過モードを選択したところ。このまま全ウィンドウの最小化も可能

製品比較を行うために2つのページをIEで開いたところ。ウィンドウのタイル化を使って見やすい形に並べてみる

タスクバーをランチャー代わりに利用して、アプリケーションの起動や特定アクションの呼び出しなどを制御できる

タスクバーから制御可能なアクションの種類はアプリケーションによって異なり、例えばWordの場合は最近開いたファイルの一覧が表示される

ネットワーク接続や周囲のマシンとの連携もWindows 7での強化点。Media ExtenderやSoundBridgeなど、ネットワーク対応音楽再生デバイスに対して楽曲ライブラリからのストリーミング再生を指示することも可能

PDCやWinHECなどでもお馴染みのWindows 7のマルチタッチデモ。Surface Globeと呼ばれるアプリケーションでは、2本指ジェスチャーで画面スクロールや拡大縮小、回転などの指示が行える。さらに3D対応し、立体地図上を自在に移動できる

また同日、Live MailやLive Messenger、Live Photo GalleryなどのアプリケーションをまとめたWindows Live製品についても、最新バージョンのダウンロードサービスを開始したとBallmer氏は発表した。Windows Liveは従来通り無料でダウンロードが可能で、新バージョンの導入でそのままアップグレードが行える。Windows LiveについてはDellとの提携も発表されており、今後同社から販売されるWindows PCにバンドル提供が行われることになる。同種のサービスはGoogleも提供しているが、Microsoftはこうしたバンドル提供を介してユーザー層の拡大に努める。

Windows 7ベータと同タイミングで、今度はWindows Liveのサービス&ソフトウェア・スイートの最新版の提供も発表

Windows Liveの利用例その1。通常のチャット画面に翻訳機能を付与。画面の例ではロシア語と思われる言葉を英語に翻訳して表示している

Windows Liveの利用例その2。Windows Liveで提供されるフォトライブラリ機能を使い、写真をスライド表示する。画面表示にはSilverlightが使われており、適時効果的なエフェクトがかけられている

オーストラリアのロックバンド「Tripod」がステージに登場