クラウド時代にあってもWindowsはネットワーク中心に存在し続ける

こうしたMicrosoftの当面の注目デバイスは「PC」「電話」「TV」の3つだ。時代の変革とともに機能強化が行われ、利用スタイルが変化してきたこれら製品だが、現在ではデジタル家電の世界の先鋒ともいえる存在になっている。この3つの分野を追いかけることで、MicrosoftのWindowsエコシステムを広げていくのが狙いとなる。例えば需要が頭打ちとなりつつあるPCだが、現状の10億ユーザーに加え、まだPCを所持していない人々が世界には50億人存在する。これは1つのチャンスだ。OLPC(One Laptop Per Child)は、こうした層にリーチするソリューションとなる。

WindowsといえばPC。「Life without Walls」という近年標榜している標語を掲げつつ、携帯やTVなどスクリーンを持つデバイスすべてにWindowsを展開していくのがMicrosoftの目標

チャンスといえば、携帯電話はPCよりも市場の広がりに期待しやすい。Ballmer氏によれば、携帯電話市場は今後数年でスマートフォンの割合が50%に到達する見込みだという。これはWindows Mobileにとってチャンスとなる。TVは半世紀以上が経過した古いデバイスだが、ここ最近の進化が最も著しいものの1つとなる。巨大スクリーンは家族の中心にあり続け、今後もまた訴求力のあるデバイスとして存在し続けるだろう。機能はより洗練され、互いに接続されることになり、ここにMicrosoftの介在する余地が存在する。Ballmer氏は今後成長や変革が見込まれるエリアを3つ挙げているが、その1つがこの3つのデバイスの融合だ。今後、その垣根がなくなっていくと同氏は説明する。

2つめのエリアはコンピュータやデバイスとの対話方法だ。近年のMicrosoftは「ナチュラルUI」と呼ばれる、キーボードやマウスよりもより自然な入力方法の模索を進めているが、ここが大きく進化することになるとみている。音声認識、ハンドジェスチャー、手書き認識などさまざまな方法があり、徐々にいろいろなデバイスに搭載され始めている。今後もより自然な入力方法が考案されていくだろう。

最後のエリアは接続性だ。過去10数年のIT業界の進化はインターネットと無縁ではない。デバイス同士の接続、Webを用いた情報通信、そしてクラウドと、現在もなお日々進化を続けている。だがBallmer氏が強調するのは、このようにデバイス同士がピアで接続される時代にあっても、依然としてWindowsがネットワークの中心にあり続けることになるという点だ。