Microsoftは、同社が提供する車載情報端末向け製品の次期プラットフォームが2009年中に登場することを明らかにした。

現在、同社は車載情報端末向けプラットフォームとして、欧米の自動車メーカー向けに「Windows Auto」を、日本のカーナビゲーション機器メーカー向けに「Windows Automotive」を提供している。

「Windows Auto」と「Windows Automotive」の2つの製品を車載搭載機器向けに提供

Windows Autoは2008年3月にメジャーバージョンアップとなる「Windows Auto 3.0」を、同11月14日にマイナーバージョンアップとなる「同3.1」を発表している。一方、Windows Automotiveは同6月に「Windows Automotive 5.5(WA 5.5)」をリリースしている。

2009年春にはWindows Autoの次世代バージョンとして「恐らく4.0の名前が付くはず」(マイクロソフトディベロップメント ITS戦略統括部の平野元幹氏)と言われるバージョンがリリースされる予定で、同年後半にはWindows AutoとWindows Automotiveの機能を統合したプラットフォーム「Motegi」(開発コードネーム)のリリースが予定されているという。

2009年には1つのプラットフォームを統合したプラットフォームが登場する

2つのプラットフォームをWindows CE 7.0をベースに、双方の特長だった機能を搭載する。主なものとしては、Windows Automotiveから「HMI Tool kit」「Ready Guard」「AST Tools」、一方のWindows Autoから「Media Core」「Phone Core」「CD/Radio Core」などが予定されている。

「Motegi」プラットフォームの階層プラン(青い部分がMicrosoftが提供する部分で、赤い部分がサードパーティが提供する部分)

この内、次世代HMIフレームワークであるAutomotive User Interface Framework(AUIF:開発コードネーム「RAMUNE」)は、WA 5.5では製品としてではなく、評価用のTechnical Previewとしてリリースされており、Motegiでも実装は見送られ、「2010年に予定しているMotegiの次世代版に搭載する計画」(同)としている。

これは、同時期にMicrosoft内でSilverlightの開発が平行して行われており、Silverlightとの融合が決定したため、これにより「RAMUNEで開発された車載に必要な機能をSilverlightベースの上に盛り込んでいく」(同)とする。

また、WA 5.5で搭載されたReady Guardは、OSの起動高速化、エラーリカバリ手法の最適化、サブCPUハードウェアおよびソフト開発工数の低減といった特長を持ち、「高信頼性の目玉」(同)とする。

従来とReady Guardとのリカバリ手法比較

なお、Windows AutoはFreescale Semiconductorの「i.MX31」およびTexas Instrumentsの「Jacinto」をサポートしているほか、Windows Automotive搭載のReady Guardはルネサス テクノロジの「SH7770」などにも対応している。