米カリフォルニア州ロサンゼルスで現地時間の10月27日から米MicrosoftがPDC (Professional Developers Conference) 2008を開催する。前回2005年9月の開催から3年ぶり。Bill Gates会長が引退してから初めてのPDCであり、技術戦略の舵取りを託された現CSA (チーフソフトウエアアーキテクト)のRay Ozzie氏がどのようなビジョンを示すかが注目される。具体的な製品としては、クライアント向けWindowsの次期メジャーアップグレードになる「Windows 7」の詳細が明らかになるほか、"Software+Services"とクラウド戦略についても新たな展開が予想される。

PDCはMicrosoftがWindowsプラットフォームの指針を示すタイミングで開催するソフトウエア開発者やパートナー向けの技術カンファレンスだ。中・長期的な計画を開発者と共有し、技術的なサポートを提供することで、サードパーティ対応も整った状態でユーザーに新製品を届けられるようにする。Windowsプラットフォームのエコシステムを構築するためのカンファレンスと言える。

2007年1月にWindows Vistaのコンシューマ向けリリースを終えた後、Microsoftは同年秋にPDCを開催する計画を発表していた。ところが「プラットフォーム技術の次の波を示すのに最適な時期ではない」という理由で延期。その後Service Pack 1リリースでWindows Vistaをてこ入れし、Windows Server 2008、Visual Studio 2008、SQL Server 2008を揃えた上で、改めてこの10月末にPDCを組み込んだ。同社はハードウエア開発者向けにもWinHECという同様のカンファレンスを用意している。これまでWinHECは春、PDCは秋に開催されてきたが、今回はPDCの1週間後に同じロサンゼルスでWinHECも行われる。

26日午前8時、参加者チェックインが始まった直後の会場

さて開幕前日、会場の準備が完了したロサンゼルスコンベンションセンターでは、午前8時から参加者チェックインが始まった。会場に入ると「A Solid Foundation for New Possibilities - Windows 7」という大きな垂れ幕、そして雲の形をしたふきだしの中に「THINK. WAY OUTSIDE THE BOX」と書かれた垂れ幕が続く。今回のPDCの大きなテーマが「Windows 7」と「クラウド」であることが明らかだ。

キーノートは以下のようなスピーカーによる4つのセッションが予定されている。

  • 10月27日:Ray Ozzie氏 (CSA)、Amitabh Srivastava氏 (CVP、次世代サービスプラットフォーム)、Bob Muglia氏 (SVP、サーバ&ツール・ビジネス)、David Thompson氏 (CVP、Microsoftオンライン)
  • 10月28日午前:Ray Ozzie氏 (CSA)、Steven Sinofsky氏 (SVP、Windows / Windows Live Engineering Group)、Scott Guthrie氏 (CVP、.NETデベロッパ部門)、David Treadwell氏 (CVP、Liveプラットフォームサービス)
  • 10月28日午後:Chris Anderson氏/ Don Box氏
  • 10月29日:Rick Rashid氏 (SVP、Microsoftリサーチ)

今回のPDCではWindows 7のプレベータ版が参加者に配布され、Windows 7に関しては22ものセッションが行われる。だが大局的には"クラウド"が主役になりそうだ。初日のキーノートのタイトルが、そのものズバリ「Cloud Computing takes Center Stage」であり、クラウドに関するセッションはWindows 7を大幅に上回る38セッションが用意されている。次のプラットフォームの基盤として、まずはクラウド・コンピューティングの整備からという様相である。なお2日目のキーノートのタイトルは「Building the Next Generation of User Experiences」。Anderson氏とBox氏のキーノートはコーディング・セッションになりそうだ。

MicrosoftはPDC直前に、the 2007 Microsoft Office systemのService Pack 2を来年春ごろにリリースする見通しを発表、またWindows Vista Service Pack 2の評価用ベータを10月29日からTechnology Adoption Programの一部カスタマーに 提供することを明らかにした。PDCでは、現行製品から次世代への移行期間をつなぐ、これらのアップデートに関する情報にも触れられそうだ。