「将来的にはそこ(1台持ち)まで行かないと、我々が目指している世界は実現できないと思います。ただ、今後すぐにiモードやFeliCaのような日本独自の機能をサポートしていこうというわけでもありません。日本の市場に合った機能やサービスはもちろん必要だと思いますが、今の携帯電話は機能に関してはある程度行き着くところまで行っているのではないでしょうか。iPhoneに象徴されるように業界全体がオープン化の流れにあるのは確かでしょうし、通信事業者さんの意見を聞いても、必ずしも独自機能が必須ということではないようですので、むしろWindows Mobileでしかできないことを伝えていきたいと考えています。ただ、日本独自機能をまったくやらないというわけではなく、例えば『デコメ』のような機能は取り入れられると思います。本社から開発の者も何名か調布の開発センターにやってきていますので、日本で必要な機能を提供していく体制は整えています」(同)」

iPhoneの登場をどうとらえるか

一般コンシューマーへの普及拡大という点では、iPhoneの登場は大きな出来事だ。オープン環境でのインターネット利用に重きを置いているという点ではWindows Mobileと共通する方向性もあるが、ビジネスではなく一般コンシューマーの間でまず注目を集めた。Windows Mobile陣営の目から見て、iPhoneはどのようなプラットフォームに見えるのか。

「美しいGUIなども含めて、モノとしてのつくりはさすがですし、App Storeというディストリビューションの仕組みを作られたのも大きいと思います。また、オープンプラットフォームやスマートフォンの認知度を上げてもらったのは我々にとってもプラスでした。一方、iPhoneは音楽プレイヤーからのアプローチですので、携帯電話を作ってきた経験では我々のほうが上と考えています。きちんと電話として使えるということや、企業の中で使うとなるとセキュリティ面などで強みがあると思います。コンシューマーが使えて、企業でもちゃんと利用できるというのは我々の強みです。何年かの歴史がありますので、累計では何倍も売れているという実績もあります」(越川氏)

一般コンシューマーといっても、平日の昼間はビジネスユーザーだ。私用の携帯電話を仕事でも利用している人は、実際には多いだろう。となると、当然手元にあるスマートフォンで会社のメールもチェックできたほうがいい。確かにiPhoneからExchange Serverに接続してメールは受信することは可能だが、「セキュリティ意識の高まる中、業務上のメールはExchangeのライツマネジメントの機能を使って重要な暗号化しているというユーザーの方はけっこう多く、そういうメールはiPhoneでは見られません。細かいところを見ると、Windows Mobileでないとできないことは意外に多い」(同)といい、本当の意味で仕事にも私用にも使えるのはWindows Mobileだとしている。