米ニューヨークで23日(現地時間)に開催された初のAndroid携帯「T-Mobile G1」の発表会レポート続報をお送りする。実際のところ、画像と文章だけの説明では魅力を伝えるのは難しいが、実機デモを交えた生の体験レポートということで参考にしていただければ幸いだ。
初期構想から5年――いまここに「T-Mobile G1」として結実
発表会イベント開始の冒頭、T-MobileのChief Technology and Innovation OfficerのCole Brodman氏は「今日はわざわざこの場に集まっていただいて、ありがとうございます。きっと今日がモバイルの世界が変わる記念すべき日となるでしょう。(T-Mobile G1の)構想から3年、その成果をぜひ見ていってほしい」と挨拶した。通常、こうした単体の製品発表が東海岸のニューヨークで行われるというのは比較的珍しいことだ(特にT-Mobile USAとGoogleともに西海岸の企業)。それだけに、遠方はるばる(サンフランシスコから)ニューヨークまでやってきた筆者にとっても、期待の高まる発表であることには違いない。
Brodman氏と、T-Mobileの親会社であるDeutsche Telekom(ドイツテレコム)のGroup Product and Innovation OfficerのChristopher Schlaffer氏は「T-Mobile G1」の発表に際して、欧米市場におけるモバイルインターネットの普及率に言及する。iモードの登場で比較的早い時期から「ケータイでインターネット」が浸透してきた日本とは異なり、音声でのボイス・コミュニケーションやSMSによるテキスト・チャット("テキスティング"ともいう)が中心だった欧米では携帯電話でインターネットを楽しむ文化がなかなか育っていなかった。Brodman氏によれば、米国でのモバイルインターネットの普及率はいま現在でも16%程度の水準だという。当然、携帯向けコンテンツやアプリケーションの充実度は低く、「いかにPC世界のコンテンツに携帯からアクセスするか」という日本とは異なる文化となっている。欧米でこうした機能を持つのは、いわゆるスマートフォンや高機能な携帯電話に限られるため、モバイルインターネットの普及率が低い水準にとどまっている結果となる。「2002年に世界で初のモバイルインターネットを切り開いたT-Mobileが、いま再び新製品で新しい時代を切り開く」とBrodman氏は述べている。
冒頭で挨拶を行ったT-MobileのChief Technology and Innovation OfficerのCole Brodman氏 |
Deutsche Telekom(ドイツテレコム)のGroup Product and Innovation OfficerのChristopher Schlaffer氏 |
Brodman氏が言う2002年の出来事とは、T-Mobile Sidekickのリリースのことだ。画面をスライドさせると本体からキーボードが出現する独特のデザインのSidekickは、もともとはスタートアップの米Dangerが開発したHiptopという製品のOEMだ。現在、Dangerは米Microsoftに買収されているが、このSidekickの仕掛け人が2002年に同社を離れるまで創業者兼CEOだったAndy Rubin氏だ。Rubin氏はDanger退職後に新たなスタートアップ企業としてAndroidを設立し、携帯電話向けの新OSの開発プロジェクトを推進していた。2005年にAndroidは米Googleによって買収され、Rubin氏はGoogle内でAndroidプロジェクトの統括として5年越しの作業を続けている。Brodman氏やSchlaffer氏がRubin氏のことを「長年の友人」と呼ぶのはDanger時代のつながりから来ている。いま再び両者はタッグを組み、T-Mobile G1として新たな成果を世に放とうとしている。