ASUSTeK Computerは19日、Intel Atomのプラットフォームを採用したモバイルノートパソコンの新製品として、10.2型液晶ディスプレイの「N10J」を発表した。最大の特徴はGPUにNVIDIAのGeForce 9300M GSを搭載する点で、ASUSによればディスクリートGPUを搭載するAtomノートは同製品が初めて。

GeForceを搭載するAtomノート「N10J」

SDカードなどを持ち運びできる"収納スペース"という変わったギミックも。Express Cardスロットのダミーカードを利用している

ACアダプタはコンパクトで、かばんの中に入れてもあまり邪魔にならない形状

当日は同社による製品発表イベントが開催されており、登壇したASUSTeKのAPAC_MEAセールスグループ 日本担当GMのケビン・ドゥ氏が「N10J」を披露。同社のAtomノートというとEee PCが代表的だが、N10JはAtomのプラットフォームによるコンパクトな本体の実現だけでなく、パフォーマンスや多目的な使い勝手の面でも両立を目指した製品とされる。同製品はEeeシリーズの上位製品と位置づけられており、「20代から30代のビジネスマンがメインターゲット」と説明されるなど、従来のAtomノートとは少々ジャンルが異なるものなのだそうだ。

「N10J」を発表するケビン・ドゥ氏

「N10J」の製品位置付け。ノートPCとEee PCの間を狙う

20代~30代のビジネスマンがターゲット。ということで、発表会場内には"大人の男"の部屋をイメージした展示ブースも

主なハードウェアは以下の通り。

OS Windows Vista Home Premium Service Pack 1
CPU Intel Atom N270 (1.6GHz/L2 512KB)
メインメモリ 2GB (PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×1)
液晶ディスプレイ 10.2型ワイドTFTカラー液晶(1,024×600ドット)
ハードディスクドライブ 160GB SATA 5,400rpm
バッテリー駆動時間 最長約7時間 (JEITAバッテリ動作時間測定法)
本体サイズ 276(W)×195(D)×29(H)mm (最厚部37mm)
重量(バッテリー装着時) 約1.5kg

予想価格は99,800円で、発売日は現時点では明確に決定していないが、2008年の10月下旬から11月上旬とされている。

液晶ディスプレイこそ10.2型ワイド(1,024×600ドット)とミニノートサイズであるものの、キーボードはキーピッチ18.5mmのフルキーボードで、先にも述べたようにGPUにGeForce 9300M GSを搭載し、内蔵スピーカーはXdB低音域拡張技術などによるパワフルな低音再生を実現する米スピーカーメーカーAltec Lansing Technologies製。OSには、そのハードウェア性能の高さからWindows Vista Home Premium(SP1)が選択されている。

Altec Lansing Technologies製のスピーカーを内蔵。マルチメディアも考慮するなど、従来のAtomノートとは異なるブランドを目指す

スタミナも特徴とされており、同社独自の省電力技術「Super Hybrid Engine」に加え、さらなるモビリティの向上のため、ハードウェアスイッチによりGeForce 9300M GSとチップセット内蔵グラフィックスの切り替え機能も実装する。バッテリ駆動時間はGeForce 9300M GS利用時で約4時間、内蔵グラフィックス利用時は最大で約7時間というロングバッテリライフを可能としている。

同社従来ノートでも採用されていた「Super Hybrid Engine」による省電力機能は健在。ACアダプタの着脱で動作モードを自動切換えする設定もできる

ハードウェアスイッチでGeForce 9300M GSとチップセット内蔵グラフィックスを切り替えて利用できる

一番左がそのハードウェアスイッチ。右隣にはHDMI出力端子も。ちなみに一番右のスイッチは無線LANのON/OFF

なお、ハードウェアスイッチによるグラフィックスの切り替えにはOSの再起動が必要になるようだ

ちなみに、GeForce 9300M GSはWindows Vistaの高機能インタフェースはもちろん、最新のゲームタイトルを遊ぶこともできる高い3D処理能力と、HDビデオ再生を支援する「NVIDIA PureVideo HD」や、話題のGPU汎用コンピューティング技術「CUDA」などもサポートするNVIDIA最新のGeForce 9MシリーズのGPUだ。なお、ハードウェアスイッチでのGeForce 9300M GS利用時は、N10J本体のHDMI端子でテレビ出力などを行うこともできる。

ゲスト登壇したNVIDIAのマーケティング・マネージャ 平柳太一氏。GeForce GPUの利点を説明する。マザーボードやグラフィックス製品で結びつきの強い両社だが、ノートの分野でもASUS製品ではGeForceの採用例が多い。今後のさらなる協力関係も確認

またN10Jは、Windows Vistaとは別に、電源ONから約8秒で高速起動し、WEBブラウジングやSkype、オンラインチャットなどができる「Express Gate」も実装している。同社のマザーボード製品などでも実績がある機能で、時間の無い時のちょっとしたパソコンの利用などに適したLinuxベースの簡易OS機能だ。ほか、ビジネス用途が強調されているだけあり、セキュリティ機能として指紋認証デバイスも装備。画面サイズを補うため、キーボード上部のボタンで、画面上の文字や写真などを3段階にズーム表示できる「ASUS Zoom In」機能なども備えている。

手軽な簡易OSとは言っても、機能が多く実用的な「Express Gate」。まずは一部のデスクトップ向けマザーボードで採用されたものだが、使い方の幅を拡げる可能性はモバイルの方が大きいだろう

ビジネスマンをターゲットにするだけあって指紋認証もばっちり。センサは本体のタッチパッド下に装備されていた

ディスプレイサイズはどうにもならないわけで、意外と便利そうな「ASUS Zoom In」機能。ボタン一発で拡大できるのはありがたい