梅雨も明けて、今年も暑い夏がやってきた。この時期のレジャーといえば、海に山にと盛りだくさん。そんなアウトドアシーズンにピッタリなのがカシオ計算機の「PROTREK」シリーズだ。同シリーズは、気圧/高度計、方位計、温度計によるトリプルセンサー機能を中心に「電波時計」や太陽発電の「タフソーラー」などの多彩な機能を搭載したアウトドアウオッチである。今回は、「高度差計測」などを備えた登山向けモデル「PRW-1300」「PRW-500」と、「タイドグラフ」なども搭載し海・山両用となる「PRW-1500」を腕に北八ヶ岳連峰北部の山・横岳(通称・北横岳)を登り、役立ち度をレポートしたい。
「PROTREK」のギミックに魅力を感じて、取材を引き受けてはみたものの、登山に関してはズブの素人である筆者。しかも、頼りの担当編集者も、まったく登山初心者。これでは、レポートどころか遭難しかねないと判断されたためか、今回はカシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 時計統轄部 モジュール開発部 モジュール企画室で、「PROTREK」シリーズの開発に携わる牛山和人さんにご同行いただいた。牛山さんは開発者でありながら、自ら厳冬期の八ヶ岳を登山して、製品テストをしてしまうほどのクライマー。そのクライマーとしての経験が「PROTREK」にも活かされている。
牛山「いままでは商品開発が技術発信型だったんですね。それだとユーザーが広がっていかないだろうということで、ユーザーのニーズを正しく理解するために、中高年登山者のカリスマである岩崎元郎さんが主宰している無名山塾という山岳会に私が入りました。もともと釣り好きだったんですけど、登山が面白くなって、いまは山が本職ですね(笑)」
筆者が「PRW-1500」(写真左)、女性にも適した小型サイズの「PRW-500」(写真中央)を担当編集者(女性)が腕にいざ出発。牛山さんは登山用薄型モデル「PRW-1300」をセレクト |
「PROTREK」シリーズは、気圧/高度・方位・温度が計測できるトリプルセンサーを搭載したアウトドア向けのモデル。2000年に「大画面」「かんたん操作」、2002年に太陽発電の「タフソーラー」、2005年に「電波時計」と常に進化を続けてきた。「PRW-1300」「PRW-500」は、それらを受け継ぎ、さらに薄型・コンパクト化が施されていると言う。また「PRW-1500」はトリプルセンサーはもちろん、20気圧防水機能も搭載したマルチフィールドモデルだ。
牛山「先ほど話した岩崎さんのほかに、日本人初の8,000m峰14座完全登頂を目指す登山家の竹内洋岳さん、オリエンテーリング日本選手権で通産22勝して神様と称される村越真さん、アドベンチャーレースにおける国内第一人者である田中正人さんといった方々にアドバイスをいただいて製品開発を進めています。たとえば登山用モデルでは薄型や軽量化というのは非常に重要だということを教えられました」
とはいえ、「PROTREK」シリーズの進化はサポーターの意見だけによるものではない。牛山さん自身の経験も大きく影響を与えている。
牛山「ここに写っているのは私自身です。場所は2月の八ヶ岳と妙義ですね。この時は、顔が凍傷になりまして、しばらくは頬骨のあたりが瘡蓋になってました(苦笑)。でも、実際現場へ行くことによってユーザーの気持ちにもなれますし、サポーターのアドバイスが理解できるようになってきました。いままでは、どんなにアドバイスをいただいても『それはどういう意味なんだろう?』という部分があったんですよ。そうなると製品に結びつかないし、せっかく話を伺ってもわからないのは失礼なので、実際に山に入って、彼らの言っていることを100%理解できるようになろうと」
登山を知り尽くしたサポーターからの意見を、そして製品開発に対する牛山さんの真摯な姿勢が、「PROTREK」をスペックだけではなく「本物の道具」に発展させている。それゆえに、「PROTREK」シリーズは登山愛好家だけではなく、それ以外のユーザーにも人気を得たと語る。
牛山「従来の製品もスペック的には、電波時計でタフソーラー、大画面・かんたん操作と、すべてが入っているんですけど、サイズが大きかったんです。『PRW-1300』で薄型かつ手頃なサイズになったことで、爆発的にユーザーが広がったんじゃないかと……。先日なんて、街中で女性が着けているのを見かけました。呼び止めて、購入動機を聞こうかと思いましたよ(笑)」