坪庭を出発して、1時間ちょっと。ようやく山頂が見えてくる。目の前の登山道を登りきれば、横岳制覇だ。見上げる山頂の空は、青空がのぞいており、素晴らしい景色が期待できる。苦労して、登ってきた甲斐があるというものだ。期待感に胸を躍らせながら、登山道を登る。筆者が着けている「PRW-1500」の高度計は、2,470mを表示している。山頂はもう間もなくだ。
登山道を登りきり、ついに横岳山頂に到達! 日本アルプスを見渡せる、雄大なパノラマビューが広がっていると思ったら……予想に反して、名だたる峰は軒並み雲の奥に隠れている。
とはいえ、2,500m級の山頂は初経験の筆者は、おおはしゃぎである。さっそく標高が書かれた道標の前で高度表示を確認し、うっとりしている。と見る間に、空の雲行きが怪しくなり、空一面を雲が覆ってしまう。担当編集者から日頃の行いを言及され、回答に詰まる筆者。心当たりがありすぎて、どれが原因かわからない……。
パノラマ風景を充分に眺め、山頂を渡る心地よい涼風をたっぷり愉しんだあと、一路、坪庭へ向け出発。途中の山小屋でも休憩を挟まず、一気に坪庭まで戻ってくる。そこで、牛山さんが高度計について、もうひとつとっておきの機能を教えてくれる。
牛山「今回使用したPROTREKの高度計では、1番標高の高い場所にいった時の高度と時間が自動的に記録されるんです。たとえば今日でしたら、12時14分に2,485m、山頂に到達しましたよという情報が残っているんですね」
さっそく、自分の高度計を確認してみる。しっかり「MAX 2485m」としっかり記憶されている。達成感が湧き上がり、妙にうれしい。友人に自慢してやろうと企みつつ、うわの空でいじっていたら……ピーッと音がなったかと思うと、せっかくの高度データが消えている。落胆している筆者に担当編集者がおもむろに尋ねる。
編集者「高度の記録、消しちゃったんですか?」
筆者「えぇ、クリアしちゃいました」
編集者「もう一度登るしかないですねぇ」
牛山「再トライするなら、お付き合いしますよ。でも、せっかくですから、今度は横岳よりも高い3,000m級の本格的な山にしましょうね(笑)」
爽やかな笑顔で牛山さんまでもが便乗する。たしかに、PROTREK をつけての道中で山登りの楽しさは実感できたのだが、まずは筆者、体力をつけることが前提条件だと身にしみた登山であった。
"本物の道具"というコンセプトをもとに開発されているPROTREKシリーズでは、プロユーザーから軽くハイキングを楽しみたい人まで、幅広いユーザーに使ってもらうために、今後もさらにチャレンジした製品を展開していくという。ユーザーの視点に立ち、自らフィールドテストまでこなしてしまう牛山さんのような方が開発に携わっているだけに、今後登場する製品も充分に期待できる。PROTREKシリーズが好評を得ているのは、機能やサイズだけではなく、その"こだわり"にあるようだ。