前面ユニットの分解は、まず無線LANモジュールを抜くところから始めた。

無線LANモジュールは、ゲル状の熱伝導シートでメインボード側に放熱されている。粘着性の熱伝導シートでくっついているだけで、固定されているわけではないので、USB端子からまっすぐ引き抜くと簡単に外れた。モジュールは、USBタイプのものを基板だけで利用している。市販されているUSB無線LANアダプタの外装を外した形のものだ。

コントローラの上には、熱伝導シートが付けられている

裏側

熱伝導シートを外した

無線LANコントローラは一般的に比較的発熱量が大きい部品だ。製品化する際にも、各社で発熱対策に苦労していると聞く。そのため、熱伝導シートで熱を逃がすようにしているのだろう。しかし、放熱される側は、さらに発熱のあるメインボード、その先も発熱源である液晶部分であるので、これで十分役に立っているのかは疑問だ。Chumbyを長時間使用していると、たまにネットワークがハングアップしたような状態になることがあるのは、無線LANモジュールの発熱対策が十分でなく熱暴走している可能性も考えられる。

また、国内で販売されている無線LAN機器に比べて、こころもち感度が低い感じがするのは、モジュール上の回路アンテナのみで外部のアンテナは使われていないことと、片側が液晶やマザーボードによって塞がれていて、電波が十分外に出ていない可能性も考えられる。

無線LANモジュールは、メインボードのUSBコネクタから、USB中継ケーブルとUSB中継基板で二重に延長接続されている。一見、どうしてこんな無駄なことをやっているのかよく分からないところだ。

理由を想像してみると、この中継基板には、熱の問題と電波の問題を解決するという2つの目的がありそうだ。おそらく、当初設計位置でケースにおさめたところ、無線通信がうまくいかなかったり、放熱に問題が出て通信が継続できなかったりしたのではないだろうか。そこでUSB中継基板を作り、無線LANモジュールのアンテナ位置を変え、少しでも電波が飛びやすいように変更したのだろう。また、化繊綿と基板が直接触れ合わないように空間を作って、若干でも空気が対流して熱を逃がせるようにしたのではないだろうか。

USB中継基板はネジ止めされているだけなので、簡単に外せる。残りの液晶モジュールと、メインボードは上部で銅箔がハンダ付けされており半ば一体化している。銅箔は電磁波対策ではないかと思われる。

USB中継基板と、USB中継ケーブルを外す

銅箔がハンダ付けされている

下側は、液晶モジュールから伸びた2本のフレキシブルケーブルで接続されている。太いものは液晶の制御用、細いものはタッチパネル制御用と思われる。

基板裏側

フレキシブルケーブルを外し、液晶モジュールとメインボードを広げてみる。

メインボードには熱伝導シートが貼られていて、液晶側に熱を逃がしている。

銅箔をちょうつがいのようにして展開する

熱伝導シートを剥がしてみた

CPU部拡大

メインボードの端には、シリアル接続用のスルーホールが見える。ピン配列もシルク印刷で書かれている。信号出力はTTLレベルだと思われるが、内部にコンソールアクセスできるのはhackのためには心強い。

シリアルは、左からTX、RX、+3V、GNDの順になっている

前面ユニットをこれ以上分解すると、元に戻せなくなるので、このあたりでやめておく。