MXCのPositioning

Press Briefingのお相手は、昨年までCellular Productsを率いてきたSandeep Chennakeshu氏に代わって同部門を統括するTom Deitrich氏(Senior Vice President and General Manager, Cellular Products)。前職はSony Ericsson Mobile CommunicationsのSVP。Freescaleには1年半ほど前にやってきたとか

そのMXCについて、Press Briefingでもう少し細かい話を聞いてきたので簡単にまとめてみたい。

まずマーケット概況としては、流石にマーケットそのものの伸びは明確に頭打ちになりつつあるが、仔細に見てゆくと通話に変わってデータ通信の伸びが大きくなりつつある、という予測がある。これはMobile Serviceにも言えることで、2006年と2010年を比較した場合、VideoとかLocationといったServiceの伸びは非常に大きく、こうしたマーケットに活路を見出したいという話になっている。これはHandsetに関しても同じで、データ通信の比重が増えるにつれ、今よりも"Smartphones"の比率が高まるとしている。そのSmartphones、基本的にはPersonal DeviceとのConvergenceが進む、というのがトレンドであろうと予測されている。

まぁこれはよく見かけるもの。日本と韓国がデータ通信サービスのEarly Adaptionという話も、これもよく聞く

ただCAGRはともかく、2010年においてもRevenueの半分はMessagingというあたり、果たして残りの半分のサービスをRichにすることにどれだけの投資をキャリアが行ってくれるのか?という点はちょっと不明確な感もある。もちろんそこをRichにしないと伸びが止まる、という話でもあるので、まるっきり投資しないということは無いのだろうけれど

これも良く見かける話。ただし日本や韓国はともかく、World WideでどこまでSmartphonesが増えるのか、という議論になると、今までは業界が予測するほどには増えてこなかった現状があるわけで、2011年になるとほぼ半分近くがWCDMAやHSDPAを搭載したSmartphoneになるというのは、個人的にはちょっと「?」である。ついでに言えば、ASP(平均販売価格)は2008年の117ドルから2011年の103ドルに落ちるというのは、つまり機能を追加しても価格は上げられないという事である

これはもはや予測ではなく、単なる現状の追認という気もする。WillcomのD3/D4、あるいはAppleのiPhoneなど、すでにPersonal Deviceに携帯電話機能が付いているといったほうが正しいからだ

こうしたマーケット分析の元に、

  • 3Gは当然のこと、HSDPA/HSUPAやLTEなどの高速通信に対応し
  • Smartphoneを名乗れるだけのアプリケーション性能や描画性能、拡張性を備え
  • 低コスト・低消費電力を実現できる

といった機能が今後のマーケットシェアの確保には必須であるとしている。

低コストに関しては、すでに携帯開発コストの大半がソフトウェアに費やされている現状から、いかにソフトウェア開発を低コストに抑えるかという話になりつつあるわけで、その辺りがMXCにおいてもアピールポイントの1つである

こうした背景の下に、Freescaleは今後のSmartphoneに必要とされる機能を満たすSolutionとしてMXCシリーズを位置づけている。具体的には、Low-TierからHigh-Tier(これが何かは後述)までの製品を構成できる製品ポートフォリオを、4種類のOS別に用意しており、かつ開発ツール類を充実させることで、開発コストの低減とTTMの短縮を実現できる、としている。ここで気になったのはLinuxとandroidの関係であるが、Deitrich氏によればMXCでサポートするのはLinux BSP(Board Support Package)であり、どんなApplication Frameworkが乗るかに関しては基本的に関与しないとの事。なので、あとはベンダがどんなApplication Frameworkを乗せるか次第だという返事であった。

ただ、Symbianの場合、S60とUIQという2種類のApplication Framework別にパッケージを用意している(まぁ現実問題として、この2種類は異なるOSとも言えるので仕方ないのかもしれないが)あたり、Linuxに関してはandroidに関してもう少しサポートがあっても良さそうにも思える