最近では3倍速駆動のデモが行われる

さて、動きの速いスポーツ中継の場合、動画ブレを起こしにくいという点が重要な要素だとされています。動画ブレを起こしにくいテレビといえば、現在では、プラズマテレビで、液晶テレビの場合には、倍速駆動を採用したモデルがお勧めということになります。倍速駆動のモデルでは、通常の液晶パネルが60Hzで駆動されているのに対して、その2倍の120Hzで駆動されます。ただ、パネルだけが2倍の速度で駆動されているというわけではありません。地上デジタル放送でもBSデジタル放送でも1秒間のコマ数はフレームレート30枚です。実際には、インターレースなので、偶数ラインと奇数ラインの信号が交互に送られてきます(1秒間に60回送られてくることになります)。そのため、120Hz駆動のパネルを採用しているテレビでは、2回に1回は、オリジナルの信号ではなく(デジタル放送なので、オリジナルの信号を復号したものということになるのですが)、テレビセットの中で作られたフレームが表示されることになります。新たなフレームの作成は、前のフレームからの動きなどをを元に、次のフレームの動きを予想するといった手法で実現されています。というわけで、倍速駆動の液晶テレビには、通常の液晶テレビに比べて、より高度な映像エンジンが求められます。2006年ごろから倍速駆動のモデルが登場してきましたが、現在では、各社のラインナップの中級モデル以上は、ほぼ倍速駆動タイプとなっています。 AV機器の展示会などに行くと、日本ビクターのブースでは(倍速駆動の液晶テレビを国内で最初に発売したのは同社なので)、必ずこの倍速駆動のデモが行われています。液晶テレビパネルを横に2分割して、片側が通常の60Hz駆動、もう片側が120Hz駆動というもので、動きの速い映像やテロップの表示で、いかに差が現れるかわかりやすく示しているのものです。

しかし、これら120Hz駆動のものでも、液晶テレビの動画解像度は600本程度で、プラズマテレビの900本以上に比べると、数値的には劣ります。では、普通の液晶テレビ、倍速駆動の液晶テレビ、プラズマテレビの3種類で、実際に動きのある映像を見たときに、その差異がどのくらいわかるのかというと「並べて見ればわかる」といった程度だと、筆者には思えます。もし、その人の家に、60Hz駆動の通常の液晶テレビだけしか設置されていなかったとしたら、多分、とくに動画がぶれて見にくいなどとは、思わないでしょう(現在の筆者の環境がそうなのですが……)。

倍速駆動と撮影時のぼけを検知して補正を行うIBリダクション機能、24pで撮影された映像を検知し、新たに4コマ分の映像を挿入するMC機能をなど組み合わせた「モーションフロー」機能を搭載するソニーBRAVIA「KDL-46V5000」

倍速駆動のメリットは、動画ブレの低減だけではありません。映画など、フィルムで撮影された素材は、もともとは、1秒間に24コマで制作されています。これをテレビ放送に乗せると、テレビ放送は1秒間に30コマなので、24コマから30コマへの変換が行われます。そのため、1秒間のうち6コマは前と同じコマが表示されることになります。テレビで映画を見ると、動きが多少ぎこちなく感じるという人もいるようですが、これがその原因です。倍速液晶を採用しているテレビでは、1秒間に120回、表示を行うことが可能です。120ということは、フィルムの24コマの倍数です。そのため、24コマ/秒の映像は、単純に同じコマを5回続けて表示すれば、元のフィルムの動きと同じになります。ただし、テレビの電波に乗せている時点で、重複したコマが1秒間に6回、存在します。倍速液晶を搭載しているテレビの多くでは、これを検知して、元のスムーズな動きに戻す機能を搭載しています。

倍速機能は、動画再生能力を高めるだけでなく、映画などの再生にも効果がある。ただし過度の期待は禁物