一昔前のモデルでは、8bitのパネルがほとんどでしたが、現在、ミドルクラス以上のテレビには、たいてい10bitパネルが使用されています。8bitのパネルでは、RGBの各色で256階調の階調表現が可能です。256×256×256で、全体としては約1600万色の表示が可能ということになります(もちろん、フルHDのテレビでも、その画素数は1920×1080で約207万ピクセルなので実際に1600万色を同時に表示することはできません)。10bitのパネルでは約10億7000万色の表示が可能ということになります。1600万色は、PCの表示環境ではTrueCororと呼ばれ、自然界の色をほぼ表現できると(昔は)されてきました。しかし、実際の所、自然な映像を表示するためには、これではまだ十分ではありません。8bitと10bitの違いは、単色のグラデーションなどを表示させれば、普通の人の目にも分かります。自然画像で分かるかというと、すべての場合に分かるわけではありませんが、例えば空の雲を映しているような映像だと、判別できる場合があります(これは静止している状態の話で、動いていたら、多分分からないでしょう)。

10bitの「DIAMOND Panel」にリアル12bit処理の映像エンジン「DIAMOND Engine PRO II」を組み合わせた三菱電機「REAL MZW」シリーズ

また、映像エンジンは、リアル12bit、あるいは12bit相当の処理を行うものがほとんどです。HDMI 1.3で使用される(すべてのHDMI 1.3で使用可能というわけではない)DeepColorでは、12bit~16bitへと拡張されています(現在、多くのテレビが採用している映像エンジンは12bit、あるいは12bit相当なので、DeepColorとしては、最低線ということになります)。

現在の主流は、10bitパネルと12bit/12bit相当の映像エンジンの組み合わせ

以上が、画質面でのおもなポイントです。次に、使い勝手面について考えてみましょう。

録画はどこで行うか

使い勝手の面を考えると、どうしても避けて通れないのが、録画に付いての話です。なにしろ、今年は日本と1時間しか時差のない北京で、注目の大型スポーツイベントが行われます。つまり、競技が行われている時間は、基本的に日中ということになります。平日に行われる競技は、普通の勤め人には、リアルタイムで見ることは難しいでしょう。録画ということにになると、BDレコーダーか、あるいは、もう少し手ごろなDVDレコーダーということになるのでしょうが、最近では、テレビ本体での録画が可能なモデルも存在します。テレビの録画機能は、あったほうが便利なことは確かです。テレビ自体に録画を求めるのか、それともレコーダーを用意するのかは、その人の視聴スタイルによって変わってくるでしょう。タイムシフト視聴がメインならば(つまり、ライブラリ化は考えない)、テレビ側の録画機能は、操作性などの面で、レコーダーよりも便利なケースが出てきます。

薄型テレビに最初に録画機能を搭載したのは、日立製作所のWoooシリーズです。現行のラインナップでは、「H01」シリーズを除くすべてのモデルで、リムーバブルHDD「iVDR-S」での録画が可能なiVポケットを採用。プラズマの「XR02」シリーズ、液晶の「UT770」「XR01」「HR01」シリーズでは、250GBの内蔵HDDも搭載されます。

録画が可能なもうひとつのテレビは、東芝のREGZAシリーズです。「Z3500」と「H3300」「H3000」は、本体内に300GBのHDDを内蔵。さらに、「ZH500」「ZV500」ではUSB接続とネットワーク上のHDDへの録画が、「ZH500」ではeSATAの外付けHDDへの録画が可能です。

汎用性の高さではREGZA、なにも考えずに使えるという点では、Woooということになるでしょうか。

いずれにせよ、以前の、いったん録画したらそれを取り出す方法が存在しない(あるいは、面倒な)テレビ内蔵HDDへの録画とは異なり、現在では、制限はあるにせよ、何らかの方法で、録画した映像を、ライブラリ化することが可能です。

テレビの録画機能とレコーダーとでは、UIの違いもあります。テレビの録画機能は基本的に、テレビの番組表などから、そのまま使うことが可能です(リンク機能に対応しているレコーダーとテレビの組み合わせでも同様のことができますが、すべての機能が使えるというわけではなく、レコーダー側のUIを使う場面も出てくる)、一部のレコーダーは、ハイビジョンテレビのみを対象とはしていません。そのため、番組表やUIが、フルハイビジョンテレビに採用されているものに比べると、低解像度で作られているケースが、まだまだあります。レコーダーについての話は、また、後ほど行う予定です。

内蔵HDDとiVDRへの録画が可能な日立「XR02」シリーズ

内蔵HDD、LANやUSB、eSATAなどの外部HDDと多彩な録画機能を備える東芝「REGZA」シリーズ

外付けHDDでライブラリ化という選択肢もありえるかも

HDMI CECリンク機能は、必須

松下電器産業の「ビエラリンク」からスタートした、HDMI CECによる連携機能は、現在、ほとんどのメーカーのモデルに搭載されています。CEC以前でも、同じメーカーのテレビとレコーダーならば、レコーダー側のリモコンでテレビの基本的な操作ができるのは当たり前でした。しかし、「基本的な操作」に含まれる部分がかなり少なくて、たとえば、テレビ側の入力の切り替えはできても、受信バンドの切り替えをサポートしていなかったり、テレビ側の番組表を表示させられない、テレビ側でデータ放送サービスを選択できない、といったケースがありました(もちろん、メーカーによって制約の種類は異なります)。テレビ側の番組表から、同じメーカーのレコーダーに、録画させることが可能な機器も存在しましたが、ネットワーク経由で録画の指示を行っているというもので、実際に録画されるのは、テレビのモニター出力からの映像で、映像は当然SD画質でした。CECでは、テレビ側のUIで、レコーダーに、レコーダーが搭載しているるチューナーでの録画を指示するといったことが可能です。

当初は、テレビとレコーダー、そしてサラウンド機器との連携が大きく注目されましたが、メーカーによっては、連携させる範囲はHDMIだけに限りません。シャープの「AQUOSファミリンク」では、テレビ側がダブルチューナーの場合は、HDMIとi.Linkとを使用して、シングルチューナーを搭載したレコーダーに、デジタルW録画をさせることも可能です。ネットワーク、さらには、SDメモリーカードといったメディアを使い、AV機器だけでなく、家電製品にまで連携させる、松下電器産業の「ビエラにリンク」のような例もあります。

さらに、これは、リンク機能とは異なるのですが、三菱電機の「REAL」シリーズでは、AV機器のリモコンで、同社のルームエアコン「霧ケ峰」シリーズの操作が可能なモデルも存在します。

なお、電源のON/OFFなどの基本機能は問題ないのですが、各社で行っている独自の機能拡張に関しては、対応できるのかどうかは、分からないというのが実情です。

同じメーカー、あるいは正式対応が表明されているモデルで組みわせると、使い勝手は大幅にアップする