お楽しみ要素はまだまだこれから。やり込み度合いが勝負

シミュレーションゲームというものは、とにかくやり込んでこそ。『信長の野望・革新 with パワーアップキット』は、やり込み要素の豊富さも注目である。まずチェックしたいのが「チャレンジモード」。時代背景を中心に描いた通常のシナリオではなく、「特産品を集める」「新技術を獲得する」といったお題に向かってまい進するというものだ。この「チャレンジモード」は初期状態で20本用意されているが、クリアしていくことでさらに6本追加される。短時間でプレイ可能で、目的がはっきりしていることから、ゲームに慣れるという目的でも使えるが、絶妙な期限設定により、カンタンそうでかなり難解なシナリオも多数。すでに全国統一を成し遂げた猛者でもけっこう楽しめること請け合いだ。

カンタンそうでありながら非常に困難な「チャレンジモード」。「酒が飲みたい」だけの理由で、越後から岸和田、姫路まで遠征するって……

歴史に「もし」は厳禁である。しかし、こういったシミュレーションゲームというものは、その歴史の「もし」を実現できることも魅力のひとつである。そういった点で、今回リリースされた『信長の野望・革新 with パワーアップキット』における最大の注目点は「国替機能」の搭載だ。

「国替機能」はどのシナリオでも利用可能。東西対決のはずの「関ヶ原」を予想外の展開にする事だって可能なのだ

『信長の野望』をプレイする上で、「地の利」という要素は非常に大きい。どんなに強国でも、まわりにライバルが多いと戦いの連続で疲弊してしまう。一方、東北や四国、九州といった土地の場合、まわりに敵が少なく、さらに攻めてくる方向も決まってくるので、非常に戦略が組み立てやすい。そういった点から、「伊達」や「長宗我部」、「島津」を利用するプレイヤーも少なくないだろう。そこで注目したいのが「国替機能」。ゲームスタート時に武将を選ぶ際、「□ボタン」を押すと、あら不思議、大名の配置が替わってしまうのだ。これぞまさに究極の「もし」である。九州から全国を制圧する「真田」……。このあたり人によっては拒絶すべきポイントかもしれない。しかし、もともと歴史シミュレーションは、極論ではあるが「歴史を否定する」存在である。とにかく面白いことがベスト。自分の好きな武将をフルに活かせたほうが楽しいに決まっている、と私は思う。

これらの画像ははたして誰? 答えはこのページの下に……。などともったいつけるほどのことではないが、戦国時代を舞台にした『信長の野望』になぜか「坂本龍馬」(左)、「西郷隆盛」(中)、「大石良雄」(右)が参戦!? 特定条件をクリアすることで登場するこういったお遊び的要素も本作の魅力である

最後に、さらなる歴史否定として究極なのが「編集機能」。パラメータそのものを変更してしまうわけだ。ここまで手を出すとゲームバランスそのものが崩れる可能性もあるので、決してオススメというわけではない。しかし、どうしてもうまくゲームが進められず、投げ出す寸前に陥ったら一度試してみるのもひとつの手である。『信長の野望・革新 with パワーアップキット』は、やり込めばやり込むほど、ゲームの流れをきっちり理解できればできるほど、面白さが増してくる。「編集機能」で自国を強化して、じっくりと腰を落ち着けてプレイし、慣れた段階でガチンコ勝負に打って出る。右も左もわからない状態でプレイするよりははるかに楽しめるはずだ。もちろん、自国以外を強化して、茨の道を突き進むのもアリといえばアリだが……。

禁断の"編集機能"を駆使すれば、乗り越えられなかった壁をあっさりとクリアできることも……

熟成された歴史シミュレーション! 楽しみ方は人それぞれ

20年ぶりの「信長の野望」となったわけだが、歴史シミュレーションとして非常に熟成された印象を受けた。単なる力押しではなく、技術の獲得によって国力に差が現れるあたりは、「武田の騎馬隊」をはじめとする各大名の特徴を色濃く出せるだけでなく、「鉄砲」の登場、さらに「三段構え」などの戦法が、状況を大きく変化させた戦国時代にふさわしい色づけといえる。その一方で、やるべきことが増えて、初心者に対する敷居が上がったことも否定できないポイントである。これはバージョンを重ねたシミュレーションゲームの常とはいえ、いろいろなことができるがために、かえって優先順位が見えてこなくなるケースが少なくない。

しかし、ここまでに述べてきたとおり、初心者でも参戦できる工夫が数多く仕込まれている点も見逃せない。とにかく初心者は「チュートリアル」「地方モード」などでゲームに慣れることが重要。場合によっては「編集機能」を使うのもよいだろう。とにかく時間をかけてゲームに慣れる。そうすれば豊富な機能の意味がわかり、思うように国が経営できるようになる……ハズだ。まあ、なかなか上手くいかないところも面白さのひとつではあるが。やり込めばやり込むほど、さらなる面白さが発見できる。このあたりが、「信長の野望」シリーズ、そして『信長の野望・革新 with パワーアップキット』の魅力といえよう。というわけで、私の寝不足の日々は、もうしばらく続きそうだ……。

ゲームタイトル 信長の野望・革新 with パワーアップキット
対応機種 Wii
プレイステーション 2
ジャンル 歴史シミュレーション
発売日 3月6日 (発売中)
価格 10,290円 (Wii)
10,290円 (プレイステーション 2)
CEROレーティング A (全年齢対象)