待ち望んだ28mmの世界

コンパクトデジタルカメラの春モデルは、各メーカーから広角域を強化したモデルが投入された。やはり多くのユーザーが広角域を重要視する傾向が強まっていたのだろう。富士フイルムの薄型コンパクトデジタルカメラも、従来35mm相当(35mm判換算)からはじまる光学3~5倍ズームレンズ搭載モデルを発表してきた。筆者は富士フイルムの色がとても好きなのだが、"もう少し広い画角のレンズがあればいいなぁ"といつも思っていた。そんなわけでF100fdはとても楽しみにしていたカメラでもある。

とはいえ、F100fdは富士フイルム初の28mmというわけでなく、2007年11月に広角28mm相当・光学4倍ズームレンズの「FinePix F480fd」が登場しいる。ただF480fdには光学手ブレ補正や顔認識機能が搭載されず、スペック的に物足りない印象があった。今回のF100fdはFシリーズ最上位機種なので、スペックも機能も充実している。まさに私が待ちに待った富士フイルムのカメラなのだ。

F480fdは光学4倍ズームレンズを搭載していたので、次の広角モデルも4倍ズームだろうと思っていたのだが、F100fdは28~140mm相当の光学5倍ズームを搭載してきた。広角側だけでなく望遠側も強化してあり、良い意味で期待を裏切ってくれた。焦点距離が拡大されたことで、構図の選択肢も増え、撮影の楽しみがより増した。光学5倍ズームレンズを搭載しても、ボディは、92.7(W)×58.9(H)×23.4(D)mm(突起部含まず)、重量は170g(本体のみ)と、F50fdとほぼ同等のコンパクトなサイズに収まっている。レンズの望遠端ではかなり伸びるので、小さなボディにアンバランスな印象を受けたが慣れれば気にならなくなった。

肝心の画質をF50fdと比べてみると、有効画素数は両モデルとも1200万画素だが、F100fdのほうが解像力は高く、シャープでクリアな絵を作ってくれる。広角が強化されたことで気になる周辺の画像は、若干の色にじみと画像の流れが見られるが、抜けがよく細部まで再現されているので合格点だと思う。

F50fd(左)とF100fd(右)のワイド端

F50fd(左)とF100fd(右)のテレ端

F100fdのワイド端。35mm判換算で28mm相当

F50fdのワイド端。35mm判換算で35mm相当

F100fdのテレ端。35mm判換算で140mm相当

F50fdのテレ端。35mm判換算で105mm相当

F100fdのワイド端。35mm判換算で28mm相当

F50fdのワイド端。35mm判換算で35mm相当

F100fdのテレ端。35mm判換算で140mm相当

F50fdのテレ端。35mm判換算で105mm相当