アッカ・ネットワークス 代表取締役社長 木村正治氏

アッカ・ネットワークスは14日、2007年通年(2007年1-12月)の決算説明会を開催し、席上でNTTドコモとの提携による企業向けデータ通信サービスを発表、さらにNTTコミュニケーションズ・ウィルコムとの間で新規サービスに向けた検討を開始したことを明らかにした。

同社では、個人向けADSL加入者数の落ち込みなどを挙げ、現在のADSL中心のサービスでの成長は難しいとの見通しを示しており、新規事業として、他社との業務提携を行う形でワイヤレス・ブロードバンド事業を展開するとしている。

NTTドコモとの協業では、ドコモのHSDPA網を借り受けるMVNO(仮想移動体通信事業者)としてサービス提供することに基本合意したとしており、今後、FOMAデータ通信専用端末を活用した法人向けデータ通信サービスを提供する。また、このワイヤレス接続サービスと既存のADSL・光接続サービスを組み合わせ、インターネット接続のほかVPN等の付加サービスも用意し、トータルパッケージとしての提供を積極的に推進していくとしている。

ワイヤレス・ブロードバンド事業への参入イメージ

他社との業務提携を行い、ブロードバンド・マルチアクセス・プロバイダーを目指す

NTTコミュニケーションズとウィルコムとの協業では、ADSLやPHS、公衆無線LANサービスなどを融合させた「ブロードバンド・マルチアクセス・サービス」の実現に向け、3社の提供するサービスを1つのIDで利用可能にすることなどを検討していくという。

また、公衆無線LANサービスについても検討中で、ローミングサービスを提供しているトリプレットゲートと共同で実験やマーケティングを実施する予定としており、投資効率を確認しながら段階的にサービスを展開するとしている。

これらのサービス内容や開始時期については明らかにされておらず、「まだ基本合意の段階であり、具体的な内容は明らかにできないが、法人向けの光サービスを強化し、無線ブロードバンド通信をサービスメニューに加え、シームレスな通信環境を提供していく」(木村社長)としている。

なお同社の2007年通年(2007年1-12月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.7%減の350億7,900万円、営業利益が同5.9%増の19億9,100万円、当期純利益が同39.0%増の14億7,500円で減収増益だった。個人向けインターネット接続サービスの加入者減で減収となった(解約率は改善した)が、法人向けの光接続サービスで新規回線契約を増やし、利益は業績予想値を達成した。なお、モバイルWiMAX事業免許申請にかかった52億1,900万円を特別損失として計上している。

2006~2007年の事業別売上高の推移

解約率は前年比で改善した

2008年については売上高が2007年比11.6%減の310億円、営業利益が同4.6%減の19億円、当期純利益が同5.1%減の14億円の予想とした。営業利益・純利益の予想は2007年の前回予想と同値で、引き続き減収傾向は続くものの、経営効率化により2007年並みの利益を確保できるとの見通しを示した。

2008年度 業績予想

木村社長は、新規事業のワイヤレス・ブロードバンド事業でADSL事業を補い、2010年には売上高を60億~70億円程度上乗せしたいと抱負を述べた。