これで50万円強は安い
カメラは味だの使い心地だの言う前に、よく撮れるものでなければならない。シーンを記録する機械としてそれが大前提だろう。加えて、たっぷりと光があって三脚を使えるようなシチュエーションなら、コンパクトカメラでもけっこうきれいな絵が撮れてしまうご時世だ。一眼レフ、特にプロ用のカメラであれば、動いている被写体でも、暗い場所でも、悪天候のなかでも、確実に撮影できなければならない。そういった意味においてニコンD3は、まず最高のカメラだといえる。実によく撮れる。
機械としての出来は文句の付けようがなく、研ぎ澄まされた感じさえ受ける。このあたりがマニアの鑑賞にも耐える部分なのだろう。たとえば秒11コマの連写もあまりに軽々と行なうため、"もっと速くできるんじゃないか?"と疑いを持ってしまうほどだ。
大局的に見て、D3にほとんどウイークポイントはない。強いてあげるなら上記の逆、ハードウェアが優先されすぎているように感じるところだろう。メニューの構成やライブビューの使い勝手、絵づくりの目指すところなど、ソフトウェアというかユースウェアの面で議論を尽くしたように感じられないところもある。また、画像担当者の声が反映しきれていないようにも感じた。
いずれにしても、D3は現在求められる最高レベルのカメラであることは間違いない。これで50万円強はバーゲン価格ではないか。
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外光の入る屋内で撮影。明るさをうまくコントロールしている。 |
少し明るくしてピクチャーコントロールをニュートラルで撮影。軟らかい絵になった。 |
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スタンダードだが、緑や色が強く出た。実際以上に元気に見える。 |
古い単焦点レンズを使って撮影。描写はとてもいい。ただ、28mmレンズなのに、Exifは16mmになってしまった。 |
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花を接写。描写はとてもいいが、ビビットで撮影したためか、ピンクの色が乗りすぎた。 |
冬は猫のひなたぼっこがいい雰囲気。毛の描写が見事。 |
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落とし物なのか、赤ん坊用の靴がポールの上に置かれていた。生地のリアリティがすごい。 |
教会。周辺までキレイに撮影できた。 |
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高架下。水面に写る青がきつい。 |
夕日に映える港。 |
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雲を飛ばさないように2/3段下げて撮影。 |
太陽が薄い雲の向こうにあるため、強く白飛びを起した。 |
モデル: 新井るみこ
テスト撮影: 川上卓也 (Mediart)
作例撮影: 加藤真貴子 (WINDY Co.)
レポート: 西尾 淳 (WINDY Co.)