「CPU」

AMDはまだDesktopとMobileを分ける意味が余り無いので、今回もIntelのDesktopとMobile、AMDの3本立てとする。

Intel Desktop

最近のIntelは、製品ラインナップを6つに分類している。上位からExtreme/Performance/Mainstream/Essential/Value/Basicとなっており、製品数が増えすぎて苦労していることを伺わせる。筆者の原稿の中では、Extreme/Performanceを「パフォーマンス」、Mainstream/Essentialを「メインストリーム」、Value/Basicを「エントリー」とそれぞれ分類している。

表1 : ロードマップ

表2 : 製品分類

表3 : 製品仕様

2007年末に45nmプロセスを利用したCore 2 Extreme QX9650の出荷を開始し、何とか「2007年中に45nm製品投入」の公約を守ったIntel。もっともこれはCore 2 Extremeだから、一般的なユーザーに関係するのはCore 2 DuoとかCore 2 Quadとなる。そのCore 2 Duo、恐らくはCESのタイミングでWolfdaleがまず投入されることになる。これは45nmプロセスのCore 2 Duoで、動作周波数はちょっと控えめに2.66GHz~3.16GHzの範囲となっており、年末までに3.2GHzを越えるかどうかはちょっと微妙な感じだ。

昨年のロードマップでは「Yorkfieldが3.73GHz?」なんて話をご紹介したが、潜在的には十分それだけの実力はある様に思える。にもかかわらず3.2GHzどまりなのは、想像以上に45nmプロセスはPower Yieldの幅が広いのかもしれないという気がする。

一般論として、プロセスの微細化に伴い、Speed YieldやPower Yieldの振れ幅が大きくなると言われている。例えば130nmでは2GHz動作で消費電力が30W±1WというCPUがあったとする。これを微細化すると、90nmでは25W±3W、65nmでは20W±8W、45nmでは15W±20W(!)とかいう事になりかねない。要するに図1の様に、分布が次第に広くなる傾向があり、理論的には消費電力が0Wを切るところまで分布が伸びかねない、という話である。勿論実際にはこんな事はありえず、ある程度以下の消費電力以降の分布は0になる(つまり動作しない)のだが、要点はこの分布が、消費電力が増えるほうにも広がっていることである。既にQX9650とかQX9770のテストを行った限りにおいては、きわめて優秀な省電力性とオーバークロックの伸び代を示したYorkfieldだが、これがあくまでも分布の中央あたりに位置する製品を選んで出荷した、要するに選別品である可能性は否定できない(というか、かなり強い)。そう考えると、TDPに136W(QX9770)とか150W(QX9775)といった数字が出てくる事も腑に落ちるし、3.2GHzあたりで打ち止めの理由も見えてくる。選別品を使えば、もっと上の動作周波数の製品を出すことは可能なのだろうが、ある程度の量を取ろうとすると難しくなるということだし、同じ3.2GHz駆動でも消費電力のバラつきが激しいから、上限を130Wオーバーにしないと収まらないというあたりではないかと想像される。High-K+メタルゲートでGate Leakageを大幅に削減したとは言っても、微細化に伴うブレの大きさを抑えるのは無理だったようだ。

図1 : プロセスの微細化に伴う消費電力分布模式図

ただ逆に言えば、数を出さなくて済むならもっと上の動作周波数の製品を出せる、とも言うことが出来る。後述するBloomfieldの投入が何らかの理由で遅れた場合、Intelは即座に3.2GHzを越える製品を投入してくるだろう。