ピアノのDNAを失わないデザインを

「軽量コンパクト」且つ「低価格」でありながら「基本性能を維持」した電子ピアノ「Privia」。それは鍵盤や音源だけでなく、デザインにおいても表現されている。

倉持 電子ピアノは趣向品ですし、頻繁に買い換えるようなものでもありません。ですからインテリアや家具、車の内装など最新のデザイン情報を集めたり、年末には実際に売り場に立って、生のお客様の声を聞きながら、生涯かけて愛されるようなデザインを常に目指しています。「PX-720」では「アッシュウォルナット&ダークウェンジ調」と「チェリー&メイプル調」が用意されていますが、前者の暗い色調はピアノ経験者の方やピアノを習い始めたお子様へという方に、後者の明るい色調は若い女性の方に好評をいただいているようです。また、「Privia」のコンセプトはデザインにも反映されています。例えば「PX-720」はスタンドとペダルが一体となったタイプですが、スタンドや鍵盤カバーを付けて大きくなってしまっては意味がないので、本体の奥行きを30センチ以下にできるスライド式の鍵盤カバーを採用するといった工夫をしています。

開発本部 デザインセンター第三デザイン室 倉持直基氏


――特にこだわっている部分について教えて下さい

倉持 あくまでも"ピアノのDNA"を失わずに、ピアノを買いに来た方が、安心してご購入いただきたいという想いが強いですね。デザインを重視するあまり、ピアノと演奏スタイルが違ってしまってはいけない。ピアノのDNAの中にはもちろん素材感も含まれます。「アッシュウォルナット&ダークウェンジ調」はグランドピアノの持つ、黒の落ち着いた雰囲気をイメージ。「チェリー&メイプル調」では、近年フローリングや壁紙など室内装飾が明るくなってきている背景を意識しています。「PX-720」では、1色の素材だけで構成するのではなく、2種類の素材で構成し、木目の微妙な違いをインテリアとしても楽しんでいただけるデザインを心がけました。また、「PX-720」では新しく金属ペダルを採用して高級感を高めています。

電子ピアノならではの利点にも着目


――実際のグランドピアノにはない利点もあると思いますが

段城 「Privia」シリーズで「PX-720」から搭載された新機能としては、2つに鍵域を分けることで、同時に2人が同じ音程で演奏できる「デュエット機能」でしょうか。最大同時発音数が128音に増えたので、2人で同時に弾いてもこの機能を使用しても音切れする心配はありません。また、お子様がボタンを誤操作してしまうことを防止する「パネルロック」も「PX-720」から搭載しております。

伊藤 電子ピアノとしては当たり前のようですが、ヘッドホンをして夜使えるとか、音量が変えられるという点は本来のピアノにはない利点です。また、調律が不要、という点も大きいのではないでしょうか。 録音機能も従来からある機能ですが、自分の演奏をチェックしたり、先生やお母様が弾いたお手本演奏に合わせて練習するといった使い方は、電子ピアノならではだと思いますね。


――ユーザへのメッセージをお願いします

倉持 個人的には、まだまだカシオ=ピアノという認識が浸透しているとは思っていません。ただ、性能はもちろん電子ピアノのシェアNo.1という自負を持っておりますので、是非とも売り場で触ってみていただければと思います。

伊藤 そうですね、実際に触って弾いて聞いて楽しんでもらえれば開発者冥利に尽きます。

段城 ほとんど言われてしまいましたが(笑)、2003年から一貫したコンセプトでやっていますし、最近では楽器店だけでなく、ご近所の総合スーパーや家電量販店などで扱っていますので、触れてみてもらえる機会が増えました。実際に価格と性能品質のバランスなども見ていただければ納得していただけると思います。