11月16日の金曜日のExotic Architecturesのパネルに続いて、HPC Survivorというセッションが行われた。これはSC07の最後を飾るセッションで、ExaFlops時代のストレージはどうすればよいかというテーマで自説を述べ、参加者の投票で勝者を決めるという試みであるが、真面目な技術論ではなく、学会も終わったというおふざけのディベートである。議長はOregon州立大のCherri Pancake教授で、参加者は、パネルに引き続き出席のDongarra教授、IBMのJim Sexton氏、SunのJim Hughes氏、そして、Argonne国立研究所のRusty Lusk氏の4名である。そして、元CrayのCTOで、現在、MicrosoftのBurton Smith氏が参加者に対するアドバイザーとして出席した。

IBMのSexton氏は専門家が管理する大規模センターのストレージにデータを格納すべきと述べ、SunのHughes氏はDo it Yourselfでやるべきと主張し、SunのBlack Boxのコンテナにディスクを一杯詰めると、現状でも23PBのデータを格納できると述べた。そして、Dongarra先生は、Gドライブに格納すべきと述べ、Googleにデータを格納すれば、コストはタダで容量も無制限、セキュリティーも保たれる。但し、多少不都合な点として、データに広告が入ったり、知らないうちにGoogleにデータをマイニングされていたりすることはあり得ると述べた。最後のLusk氏は、現在はi-pod nanoであるが、将来のi-pod femtoは点のように小型になり容量は1TBになる。これを、各個人が多数個を身につけるようになる。これらを無線で結んで、i-podに格納するという方法が良いと述べた。Lusk氏は黒い帽子を被っており、つばの部分に太陽電池を仕込んだパワーハットでi-pod femtoの電力を賄えるとした。この時点でIBMのSexton氏の案はまとも過ぎて支持が少なく、同氏が脱落してアドバイザー側に移り、残りは3人となった。そして、次のラウンドでの環境に与える影響はという質問に対して、SunのHughes氏は23PBのコンテナを中国から米国の船便で送れば3GB/sでデータ伝送でき、必要な船舶用燃料オイルの方が環境に対する負荷も小さいと主張した。Dongarra先生は、Googleのセンターを北極と南極に作れば、冷却の問題も無く環境的問題も無いと主張し、Lusk氏は太陽光発電なので環境負荷は無く、皆がパワーハットを被れば地表に影ができて温暖化問題も解決すると主張した。

左からSunのHughes氏、IBMのSexton氏、Burton Smith氏、議長のCherri Pancake女史、Dongarra教授とLusk氏。

ここで、SunのHughes氏が脱落して、最終ラウンドはDongarra先生とLusk氏の対決となった。提案する解は将来的にどうなるかという問いに関してDongarra先生は、提案のアプローチはクラウド(雲)的に周囲の空間にデータを格納するので、電力消費もゼロになると述べたが、その代わりに格納できるデータもゼロだという野次が飛んでいた。Lusk氏はi-podはfemtoからattoに進化し、その先はJavaを導入してj-podとなり、j-pod zeptoは血管の中を流れて、細胞と同様に栄養素で駆動されるようになると述べた。それではj-pod zeptoは最終的には老廃物としてトイレにフラッシュされてしまうのではないかとか会場から色々な質問が出されたが、最終的にはLusk氏を支持する拍手が多く、同氏がサバイバーとなってセッションを終了した。

そして、SC07の全てのプログラムを終了して、Reno Sparks Convention Centerの出口に向かうと、来年はAustin(テキサス州オースチン)で会いましょうとのメッセージが掲げられていた。

全プログラムが終了し、会場を出る人達を送る「来年、オースチンで会いましょう」のメッセージ。