パナソニックの新しいデジタル一眼レフカメラ「DMC-L10」に触ることができたので報告したいと思う。マイコミ価格情報によると、L10単体の価格が約97,000円、ライカ14-50mm F3.8-5.6とのセットDMC-L10Kが約13万円といったところ(11/12現在。いずれも平均価格)。なおセット販売はすでに始まっているが(10/26より)、L10単体は11月22日から発売される予定。

パナソニック・フォーサーズの第2弾

L10は、DMC-L1の下位にあたる普及モデルということだが、上位下位というより、個性的なL1に対し、スタンダードなスタイルのL10というように、別のラインとして考えたほうがいいだろう。L10はしっかりしたグリップと上に盛り上がったペンタプリズムを備え、一眼レフらしい形をしている。

L10はフォーサーズ規格に準じたカメラであり、オリンパスなどの同規格レンズも使用できる。もちろんパナソニックのライカ(LEICA)レンズをオリンパス製カメラで使うことも可能だ。L10に使われている撮像素子は有効1010万画素の4/3型「Live MOSセンサー」。構造はCMOSに近いが、制御用配線をCCDと同じ2本にすることなどで、受光面積を広げ、広いダイナミックレンジと低ノイズを可能にしている。

スタンダードなスタイル+約1000万画素のLive MOSといえば、先に発売されたオリンパスの「E-510」を思い出す。重さもL10が480g、E-510が約470gと、ほとんど同じだ。しかしL10は手ブレ補正をレンズ側で行なうのに対し、E-510はそれをボディ側で行なう。ボタン類も大きく違う。

L1との比較。L1の本体重量530gに対し、L10は480gとずいぶん軽くなった

左がL1、右がL10。L10はファインダー位置も中央(レンズ軸上)に位置している

撮像素子はフォーサーズ規格の4/3型。Live MOSを使用する

L10はごくスタンダードなスタイルとなった

小型になったバッテリー

L10の特長はというと、ライブビューに尽きる。撮像素子に写った像をリアルタイムで液晶モニターに表示し、両目で確認しながら撮影できる、コンパクトデジタルカメラでおなじみの機構だ。一眼レフでは採用が遅れていたが、このとろオリンパス各モデルをはじめ、富士フイルムのS5 ProやキヤノンのEOS 40Dなどでも採用され、やっと一般的になってきたところ。

L10はそれをさらに発展させ、ローアングル・ハイアングルの撮影が簡単にできる「フリーアングル液晶」を搭載した。加えて、オートフォーカス方式として「コントラストAF」(コントラスト検出式オートフォーカス)も使えるようにした。これにより顔認識機能が使えるなど、カメラの可能性が大きく広がっている。これらライブビュー関連については後ほどゆっくりチェックしたい。

L10もオリンパスの各モデルと同じく、超音波でゴミをふるい落とすSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)を装備する。撮影した画像にゴミが写り込むことのまずない優れた機構だ。

メディアはSDメモリーカード。バッテリーは新しい小型のタイプ。"これで大丈夫だろうか?"と思うほど小さいが、容量は1320mAhある。E-500などで使われている一般的なものがただいたい1500mAhだから、1割少ない程度。撮影可能枚数はCIPA規格で450枚。実際の撮影でも500枚ほど撮影できたが、この時はモーターショーの取材で使用したため、時間にすると半日程度。予備バッテリーを用意したほうが安心だろう。

フリーアングル液晶による快適なライブビューを実現した

メディアはSDメモリーカード。もちろんSDHC対応

左がキヤノンKissX、中央がL10、右がオリンパスE-500の各バッテリー

グリップ右側のデジタル端子とリモート端子

手ブレ補正付きのライカレンズ

もうひとつ、パナソニックのカメラの大きな特長はライカレンズを使用していること。フィルムのころ、ライカのレンズはコントラストが高く、なおかつ赤などの原色系をしっかり表現するのが特長だった。国産レンズが解像力の高さを追いかけていたのに対し、ライカはカリカリな絵にはならず、しっとりとしたなかに色を乗せてくれた。画像処理が必要なデジタルでその特長がそのまま生きるか難しいところだが、よいレンズであることは間違いない。

L10とセットになっているレンズは、35mm判換算で28~100mmの画角をカバーする「ライカ D バリオエルマー(VARIO-ELMAR)14-50mm F3.8-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」。開放F値はそれほど明るくないが、2枚の非球面レンズと2枚のEDレンズで諸収差を抑えている。超音波駆動モーターを使用し、ピント合わせもスムーズ。最短撮影距離はズーム全域で29cmとなっている。

手ブレ補正機構は3つのモードが選べる。常時補正を行ない、ファインダー像が見やすくなる[MODE1]、シャッターを押した瞬間だけ補正し、より高い補正効果が得られる[MODE2]、流し撮り用の[MODE3]の3種だ。[MODE3]は縦方向のみ補正を行なうので、カメラを縦位置で(90度回転させて)撮影する場合は、手ブレ補正オフにするか、ほかのモードにしたほうがいいだろう。また、手ブレ補正のオン/オフはレンズ横のスイッチを使うが、モードの切り換えはカメラ側のメニューで行なう。

同時に発表された高倍率ズーム「ライカ D バリオエルマー 14-150mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S」は、当初11月22日に発売される予定だったが、延期になったようだ。今回は標準セットの14-50mm F3.8-5.6を使って試撮している。

L10の正面。グリップ部に「前ダイヤル」を装備する

背面。左にフリーアングル液晶の蝶番があるため、ボタンは右に集中

上面。連写などの切り換えは独立した「ドライブモードレバー」で行なう

標準レンズともいえるライカの14-50mm F3.8-5.6を装着した状態

ライカ D バリオエルマー(VARIO-ELMAR)14-50mm F3.8-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.

ライカ D バリオエルマー 14-150mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S