プレータイムを広告出稿企業が提供

プレーヤーは、有料ゲームより無料ゲームを好んでいるようだ。中国の検索エンジン最大手の百度(Baidu)がまとめた2007年のオンラインゲーム産業調査報告書「2007年百度風雲榜網絡遊戯行業報告」によると、67%のプレーヤーが無料ゲーム、19%がβ版の公開テストゲームを、つまり両者を合計すれば86%ものプレーヤーが無料ゲームを楽しんでいる計算になり、有料ゲームをプレーする人はわずか13%となっている。

こうした状況の背景には、プレーヤー自身が無料ゲームを好むということ以外に、中国オンラインゲーム業界全体で急速に普及しつつある「pay-to-play」から「free-to-pay」への転換という事情がある。

「pay-to-play」とは、プレーヤーが「プレイカード」でプレータイムと、ゲーム内の道具や武器を買うことを指す。「free-to-pay」は、厳密に言えば「free-to-play,pay-for-merchandises」ということになる。ゲームで広告などを展開する企業がプレータイムを買い、プレーヤーに対し無料で供給するので、プレーヤーは道具や武器だけを買うことになる。つまりプレータイムが無料となるわけだ。

プレーしているゲームの種類をみると、多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム「MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game) 」が56%を占め、次いで射撃、カーレーシングなどのレジャー型ゲームが40%、残り4%が将棋などのボードゲーム系となっているが、過半数のプレーヤーがインタラクティブで表現力に富むMMORPGゲームに魅力されているという。

高価なプレイカードが学生や低収入層遠ざける

オンラインゲーマーも当然、ゲーム以外のネット上のさまざまなサービスを利用している。百度の前出の調査結果によれば、オンラインゲーマーが利用しているネットサービスは、1位が音楽、2位は網友(ネット上での友だち)づくりと恋愛、3位は画像で、4位が映画とドラマ、5位が芸能関連ニュース、6位はお笑いなどとなっている。

また、デジタル家電一般やソフトウェア、携帯電話などの通信機器、IT業界情報、教育と身体トレーニング、車などの情報にも強い関心を示しており、中国のオンラインゲーマーの多彩なインターネット生活の一端を垣間見ることができる。

こうした中国のプレーヤーもいくつかの悩みをも抱えているようだ。プレーヤー自身のブログや記事報道からみると、最も大きな悩みは、インターネット環境とサーバが不安定であることだ。オンラインゲームを楽しんでいる最中の突然のサーバーダウンにより、プレーヤーたちはたびたび"奈落の底"に突き落とされたような気持ちになるという。また、高価なプレイカードは多くのプレーヤー、特に学生や低収入層の悩みの種だ。まさにこれが、8割以上のプレーヤーが無料ゲームを選ぶ原因のひとつだと言えよう。