海洋研究開発機構の大西領氏らは、次世代大気モデルに向けた乱流雲解像モデルと題する研究を発表した。

この研究では、大気をメッシュで区切り、各メッシュに含まれる雲粒(微小な水滴)をサイズごとにクラス分けして、クラスごとに移流や成長を計算するビン法を用いている。そして乱流衝突モデルを開発して実装することにより、乱流雲の大規模シミュレーションを可能としている。

海洋研の大西氏の乱流雲の高解像度解析

スライドの左側の図に見られるように、乱流を考慮した場合は雲粒の成長が早く降雨量が多くなる。これに対して、乱流を考慮しない従来のシミュレーションでは、降雨量を20%も過小評価していたという。

優秀ポスター発表の表彰

これらの30件のポスターセッションの発表に対して、工学院大学の小柳教授を審査委員長とする合計7名の審査委員が審査を行い、最優秀賞1件、優秀賞2件が表彰された。また、シンポジウムの参加者全員に事前に投票用紙が配られており、参加者投票で多数を獲得した発表に特別賞が与えられた。

どの発表が最優秀賞かというと、最初に紹介した地震 - 津波の連成シミュレーションである。そして、肝臓の4Dシミュレーションと超水滴法が優秀賞を獲得し、特別賞を獲得したのは次世代タイヤ材料の研究開発である。

優秀賞を獲得し、受賞の弁を述べる齋藤氏。後ろは、右から次世代スパコン開発のプロジェクトリーダーの渡辺氏、審査委員長の小柳教授、優秀賞の島氏、木下氏、そして特別賞の内藤氏

受賞者には小柳審査委員長から賞状とトロフィーが贈られ、最優秀賞と優秀賞の3名には、副賞として理研の渡辺氏から11月に米国ネバダ州のRenoで開催されるSC07へのレポーター派遣が贈られた。

SC07派遣の目録を持つ木下氏(左)と渡辺氏(右)

審査委員長の小柳先生は東大教授の時代からほぼ毎回、SCを始めとするスパコン関係の学会のレポートを書いておられることでも有名であるが、理研の渡辺氏からは、今回の副賞のレポーター派遣の3氏に、小柳先生に負けないレポートを書くようにという厳しい注文が付けられており、単に見学して、あとはカジノ(ネバダ州はギャンブルが合法で、RenoはLas Vegasと並んでカジノで有名)でスロットマシーンやルーレットなどで遊んでいるという訳には行かないようである。